研究課題/領域番号 |
23700732
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研究機関 | 名古屋女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
一階 千絵 名古屋女子大学短期大学部, その他部局等, 講師 (70434347)
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キーワード | 相撲 / 女性 / 芸能 / 民俗 |
研究概要 |
平成24年度は九州における女相撲興行の様子を明らかにすることを狙った。この際には、女相撲だけでなく、芸能史、特に見世物や大衆芸能の文化史に関する資料をもとに、プロフェッショナル・専業者の行う芸能が民俗芸能にいかなる影響を与えたかという点を検討することも狙いのうちに入っている。そのために、国立国会図書館において九州地方の地方紙、事例の報告のみられる長崎県立図書館において長崎県内の地方紙の演芸関係記事の資料収集を行った。 その成果として、「九州地方における民俗芸能としての女相撲の起源・由来―郷土史および新聞記事の記述から―」と題し、日本スポーツ人類学会第14回大会(平成25年3月24-25日 於:金沢大学サテライトプラザ)で口頭発表を行った。 この発表は、九州地方において民俗芸能としての女相撲の発祥、起源や由来はどのような時代や事柄であるとされているか、郷土史や新聞記事等より明らかにすることを試みたものである。多くの事例において、発祥の時期や由来は口伝によるもので、新聞記事上では確認のとれないものが多かったが、中には佐賀県佐賀市近辺の事例のように、発祥が新聞記事上で確認できたものもあった(昭和の御大典(昭和3年)時奉祝行事への余興団の出演に関する記事が掲載されている。)。 しかし女相撲興行との関連は、郷土史への記載はみられたものの、新聞記事上からは見受けられなかった。この理由として、「実際には興行が行われていなかった」ことだけでなく、「新聞紙上の演芸情報記事の対象でなかった」ことも理由として考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新しい所属機関では、旧所属機関と性質の違う学部学科の所属となり、校務が大幅に増加した結果、本研究に対するエフォートが大きく下がってしまった。特に大学における長期休暇中でも学外実習の訪問指導等の教育業務が発生し、九州での十分な現地調査を行えなかった。また、数年に一度の披露となる事例では公開されない年に当たっており、披露の機会があった事例でも、代替のきかない校務と重なり調査を行えなかった事例があった。
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今後の研究の推進方策 |
今後も大学の休暇中に教育業務が発生するため、九州での現地調査を頻繁に、または長期間にわたって行うことはほぼ不可能であると想定される。そのため、女相撲の実施者等に対する聞き取り等の直接的なアプローチよりも、興行の記録の収集・検討や、芸能史、特に見世物や大衆芸能の文化史に関する資料をもとに、プロフェッショナル・専業者の行う芸能が民俗芸能にいかなる影響を与えたかという点の検討から、女相撲を一事例としてみる間接的なアプローチに方策を転換し、研究をまとめる。 また、関連学会での発表を継続して行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に書籍の購入や資料の複写、旅費、並びに文具等消耗品に充てる。 書籍、資料はスポーツ(特に相撲)史、芸能(特に見世物、大衆芸能等)史、民俗学についてのものを中心とする。 旅費については、九州での現地調査を行うことが難しいことが予想されるものの、行事の日時等に左右されない新聞記事等の資料の収集のための、各地の図書館資料館への旅費交通費が必要となると考えられる。
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