研究課題/領域番号 |
23700732
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研究機関 | 名古屋女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
一階 千絵 名古屋女子大学短期大学部, その他部局等, 講師 (70434347)
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キーワード | 民俗学 / 相撲 / 女性 / 芸能 |
研究概要 |
平成25年度は、九州各県の地方紙より、女相撲ならびに女相撲踊りの事例収集、特に始まったきっかけとみられる行事に関する記事の収集を行った。 これまでの調査によると、長崎県下、鹿児島県下のものに、「日露戦争時の旅順陥落祝賀、戦勝祝賀の際に披露され始めた」とする文献があり、特に長崎市式見のものは、興行女相撲団より影響を受けて始められたとされていることが判明している。そこで前年度より継続して当時の地方紙の記事を調査しているが、県下での祝賀行事の詳細な演目や内容、ならびに女相撲興行団の巡業に関する記事は発見できていない。 一方、昭和3年(1928)11月の昭和御大典(昭和天皇即位の礼ならびに大嘗祭)の際に、地方自治体による祝賀行事の余興の一演目として女相撲や女相撲踊りが披露されたとする事例に関しては、福岡県下、宮崎県下、鹿児島県下等で、それらの記事を発見することができた。特に宮崎県下では、地元婦人会による女相撲、ならびに女相撲踊りが地方自治体での祝賀行事の余興として披露されたという記事を複数発見できたが、そのうちの一つ、南那珂郡福島町(現・串間市)の祝賀行事を報じた記事には力士の扮装をした女性の写真が掲載されており、女相撲踊りの貴重な図像資料と考えられる。しかし、この行事の際には、プロフェッショナルの女相撲興行団による巡業の記事はみられず、地元の婦人たちによる民俗芸能としての女相撲との関連の立証には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究の応募・採択後に所属機関が変わり、想定外の業務が発生したため、研究に対するエフォートが大きく下がった。移動初年度に続き、移動後2年目も同じく研究に対するエフォートを回復できなかった。 そのため、研究の方針を、現地調査、特に関係者に対する聞き取り等の直接的なアプローチを中心とするものから、文献調査や、周辺分野の研究を用いた間接的なアプローチを中心とするものへと変更した。この方針変更が、進捗遅延の大きな原因となった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度末にて再度所属機関が変わることになり、新所属機関の環境や職務は申請当時の所属機関のものに近く、研究のエフォートを上げることのできる可能性が高くなる見込みとなっている。今後は、文献による調査、特に、女相撲興行団の九州巡業に関する情報の収集を行う。そのための具体的な使途は、物品費(主に書籍の購入(古書を含む))、関連学会大会参加を含めた情報収集のための旅費交通費、図書館、資料館等における資料複写費である。
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次年度の研究費の使用計画 |
この研究を申請後に所属機関が変わり、授業期間内外に想定外の業務が発生した。大学の授業期間外(長期休暇中)のフィールド調査が困難になる等、研究に対するエフォートが大きく下がってしまい、その回復ができなかった。 そのため、研究の方針を、現地調査、特に関係者に対する聞き取り等の直接的なアプローチを中心とするものから、文献調査や、周辺分野の研究を用いた間接的なアプローチを中心とするものへと変更した。フィールド調査を念頭に置いて計画していた旅費交通費が少なくなったこと、芸能史、風俗史等周辺分野での関係資料の調査を行ったものの、文献の発見・購入に至らなかったことが、次年度使用額発生につながった。 物品費(主に書籍(古書を含む)の購入)、関連学会大会参加を含めた情報収集のための旅費交通費、図書館や資料館等における資料複写費にあてる。再度所属機関が変わり、大学の授業期間外(長期休暇中)を調査に使える見込みにはなったものの、再度研究方針を変更することは事実上困難なため、文献調査にかかわる費用(複写費、物品費もしくはその他扱いでの文献の購入)が中心となる。
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