研究課題/領域番号 |
23700733
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研究機関 | 札幌大学 |
研究代表者 |
束原 文郎 札幌大学, 文化学部, 准教授 (50453246)
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キーワード | <体育会系> / 就職 / 大学 / 学歴 / 学校歴 / 企業スポーツ |
研究概要 |
本年度は,1912年ストックホルム大会から2008年北京大会までのオリンピック夏季大会を対象に,オリンピック日本代表選手団の資料を整理し,選手の所属と最終学歴について考察した.これらの傾向を把握し,移り変わりを記述することは,<体育会系就職>の戦後の変遷をとらえようという本研究課題にとっても有用な基礎資料の作成を意味する. 具体的には,選手の一覧を作成し,性別,学生/学卒別所属,学校種別最終学歴について単純集計して考察した.その結果,女性選手の台頭,学生選手のプレゼンスの低下,自衛隊・警察組織の貢献度の高さ,企業スポーツの移り変わり,大学院卒選手と高卒選手の増加,大卒選手数と割合の低下が明らかとなった. これにより,企業スポーツの盛衰について大まかな流れを把握することができ,またどのような産業ないしは企業において<体育会系>を優先して雇用する慣行が広まっていったのか,あたりをつけることができた.例えば,1992年バルセロナ大会までは,八幡製鉄(現・新日本製鐵)や日本鋼管(現・JFEホールディングス)を中心とした鉄鋼産業,ユニチカ(旧・大日本紡績,ニチボー)や東レ(旧・東洋レイヨン),旭化成,リッカーミシンといった紡績関連企業が多くのアスリートを雇用し,生活の保障をしてきたといえる.続いて実施される予定の入職年代別インタビュー調査の対象者を選定する際に役立てられるだろう.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は主要全国5紙の関連記事を用いた言説分析によって,紙上での語られ方の変遷をとらえようと考えていたが,五輪名簿による所属と最終学歴の研究に予想以上に時間をとられてしまった.
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今後の研究の推進方策 |
25年度は,言説分析のための記事収集を続けつつ,特定の企業に絞った入職年代別のインタビュー調査を実施する.商社,メーカー,鉄鋼といった業界の中からそれぞれ1社程度をピックアップし,入職年代を3~5年程度に区切って体育会系就職経験者に協力していただく.年末の学会で発表し,年明けには論文として学会誌に投稿する.
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次年度の研究費の使用計画 |
多くはインタビュー調査にかかる旅費(500,000円程度)と音声データのタイピング(150,000円程度)に支出する.昨年度の残額を利用して学会での発表旅費に使用する.
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