本研究は、1998年の開催から10年を経過した長野オリンピックの開催地域が、大会によって得られた遺産をどのように活用し、意義づけているのかを評価するとともに、各開催地域がどのような変容を経験しているのかについて、それぞれの取り組みから明らかにすることを目的としている。 長野オリンピックは広域開催で行われ、熱狂的雰囲気で開催を迎えながらも、その熱は冷め、現在では地域の再活性化に向けた取り組みがオリンピックの遺産を活用しながら始められている。2014年度で調査終了の予定だったが、関連する書籍の出版と国際学会でのパネルセッションの報告が決まったため、研究期間を一年延長した。 最終年にあたる2015年度は、各地域に分散するオリンピックの遺産について、スポーツ・メガイベント研究の視角から独自の理論枠組みを展開し、特に、カーリングを通じた町作りを掲げて、通年型の「軽井沢アイスパーク」をオープンさせた軽井沢町の現状と、オリンピック開催準備期から行動をともにしてきた御代田町の現状について聞き取り調査を行った。また、関連する組織の要請を受けて調査内容に関する講演会をいくつか行ったほか、研究会での報告を行った。また、研究成果を国際学会で報告し、関連する書籍の刊行を行うなど、オリンピックに関する比較研究に向けて、情報発信を行った。 2020東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まったことで、本研究からの比較アプローチが求められるようになった。Webニュースのコラム執筆者として関連する記事の連載を行ったほか、新聞やテレビの取材にこたえて情報発信を行った。
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