研究課題/領域番号 |
23700743
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研究機関 | 日本女子体育大学 |
研究代表者 |
森山 進一郎 日本女子体育大学, 体育学部, 講師 (60386307)
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キーワード | 腹腔内圧 / クロール泳 / ストローク指標 |
研究概要 |
本研究の目的は,初級者から上級者までのクロール泳時における体幹部の活動の差異より水泳初心者レベルに対するクロール泳の技術向上を目指した水泳指導方法の確立につながる知見を得ることである. 平成23年度においては,流水プールにて泳技術の熟達した上級者を対象にクロール泳時の腹腔内圧を測定し,ストローク指標および泳速度と関連づけて検討した.流水プールにて行われた実験結果は,現在国際誌に投稿し,査読中である. 加えて,平成24年度では,静水プールにて初級レベルから上級レベルまでの被検者のクロール泳における実験(測定項目は腹腔内圧,ストローク指標および泳速度とした.また,初級レベルと上級レベルの一部では筋電図の測定も実施.)を行った.現在,中級レベルから上級レベルの被検者における腹腔内圧のデータをほぼまとめ終わった段階である.中級レベルと上級レベルとの間において,仮説としては上級レベルの方が随意最大腹腔内圧に対してより高い割合の値を示すことであった.しかしながら,結果としては中級レベルと上級レベルとの間に有意な差が認められた項目は,泳速度およびストローク長のみであり,ストローク頻度,腹腔内圧上昇量,および随意最大腹腔内圧に対する相対的な腹腔内圧上昇量については,レベル別による有意な差は認められなかった.以上の結果より,腹腔内圧は,泳速度に直接的に関係するストローク指標のようなパフォーマンス関連指標とはなり得ないことが明らかとなった.さらに,近年様々な運動種目で注目されている体幹トレーニングの有効性を検証することはできなかった. 以上の結果は,現在学会誌への投稿準備を進めている段階である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度に流水プールでの実験に加えて静水プールでの予備実験を行うことができたため,実験場の設定がまとまり,これまで全く前例のない静水プールでの実験実施に成功した.加えて,被検者のレベルを広げ,初級者から上級者までのデータをとることに成功した.ただし,腹腔内圧と筋電図を測定することはできたものの,プールの水質および同期用ライトを接続しての実験を行うことはできなかったため,本課題の申請時に項目としてあげた水中映像を分析項目とすることができなくなった.しかしながら,同期スイッチを用いて目視にて1ストロークサイクルのマークをつけることはできたため,映像と波形データとの完全な同期はできないものの,1ストロークサイクル中の波形の変化を明らかにすることはできる.すなわち,本申請課題を解明するために必要な資料となりうるものである. 申請課題を明らかにするために実施を予定していた実験は,すべて完了したことから,「おおむね順調」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度までにすべての実験が完了した.現在は,データ解析を進め,2本目の論文を学会誌に投稿する準備を進めている.
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次年度の研究費の使用計画 |
現在査読の進んでいる国際誌の英文校正,2本目の和文雑誌への投稿や成果発表としての学会発表などに使用する予定である.
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