研究課題/領域番号 |
23700745
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
若原 卓 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (20508288)
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キーワード | 筋力トレーニング / 筋肥大 |
研究概要 |
本研究の目的は、機能的磁気共鳴画像(fMRI)から求められる筋の横緩和時間(T2)とレジスタンストレーニングによる筋肥大との関連を明らかにし、トレーニングの評価指標としてのT2値の有効性を検証することである。この目的を達成し、T2値の有効性が確認されれば、長期的トレーニングが筋に及ぼす効果(筋肥大)をわずか1回のトレーニングセッション(T2値)から予測・評価することが可能になると考えられる。 平成24年度は、トレーニングの1セッションによるT2値の変化と長期的トレーニングによる筋肥大の関連について、協働筋間差および筋内部位差の観点から検討を行った。成人男性11名に、大腿四頭筋の筋肥大を目的としたレジスタンストレーニングを週に3回の頻度で12週間行わせた。被験者は膝関節伸展動作専用のトレーニングマシンを用いてトレーニングを実施した。第1回目のトレーニングセッションの前後に大腿部のT2強調MRIを撮影し、大腿四頭筋各筋のT2値を計測した。また12週間のトレーニング期間前後にMRIを撮影し、大腿四頭筋各筋の筋横断面積を計測し、筋肥大の評価に用いた。その結果、大腿四頭筋間の差(協働筋間差)については、T2値の変化と筋肥大との対応は認められなかった。一方、大腿四頭筋の各筋内における部位差については、T2値の変化と筋肥大との間に対応が認められた。したがって、1回のトレーニングセッションで求められるT2値の変化は、筋肥大における協働筋間差の評価指標とはならないものの、同一筋内における部位差の評価指標となることが示唆された。 なお、上記の成果を第25回日本トレーニング科学会大会にて発表し、トレーニング科学研究賞奨励賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、機能的磁気共鳴画像(fMRI)から求められる筋の横緩和時間(T2)とレジスタンストレーニングによる筋肥大との関連を明らかにし、トレーニングの評価指標としてのT2値の有効性を検証することを目的としている。これまでの研究結果から、T2値がトレーニングの評価指標となり得る側面(同一筋内の部位差)とそうでない側面(協働筋間差)を明らかにできている点で、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度には、トレーニングの1セッションによるT2値の変化がトレーニングによる筋肥大の個人差を反映するか?という課題に取り組む。同一プログラムのレジスタンストレーニングを行わせた場合でも、筋肥大の程度には大きな個人差が存在することが知られている。T2値の変化から筋肥大の個人差を予測することができれば、実施しているトレーニングプログラムの有効性あるいは無効性を評価できるようになると考えられる。そこで、1回のトレーニングセッションによるT2値の変化の個人差が、そのトレーニングを長期的に継続させた後の筋肥大の個人差と対応するか否かについて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの研究成果の発表費用(論文投稿費用、学会発表費用)に研究費を使用するとともに、次年度に実施する実験の消耗品購入および、実験補助者謝金・被験者謝金の支払いに充てる予定である。
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