本研究では、力発揮を利用せず、つまり、筋力の影響を排除した条件で腱組織の力学的特性の計測方法を開発し、トレーニングや不活動、加齢の影響を明らかにすることを目的とした。 平成23年度は、超音波装置を用いてこれまで用いられてきた計測方法に加え、新たに考案した方法によるアキレス腱の弾性特性の計測を試みた。本実験にて評価する力学的特性については下腿三頭筋における収縮様式以外の部分の弾性要素の力学的特性を評価している可能性が高い。 平成24年度は、超音波装置では一部分の形状変化をとらえるにとどまるため、力発揮中の下腿三頭筋全体の変化からアキレス腱形状変化を明らかにし、力発揮における腱組織の3次元的な変化を明らかにすることとした。先行研究と同様の方法に従って、計測を試みたが計測時間が長く、プロトコルの改善が要求され、それに終始した。 平成25年度は、プロトコルを改善し、これまでの方法によって計測した結果との比較をすることによって、方法の検証を行った。その結果、ほぼ同様の結果を得ることができたため、その方法を採用することとした。しかし、背屈位での力発揮時における計測時の課題が浮き彫りとなった。 平成26年度は、計測時の課題を解決すべくいくつかの方法を検討してきたものの、現段階においては課題解決まで到達できなかった。 本研究を通じて、新たな腱組織の力学的特性の計測方法という観点からすると、目的の一部を達成することができ、その点においては満足できるものであった。
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