研究課題/領域番号 |
23700747
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
近田 彰治 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (80598227)
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キーワード | 肩 / 肩甲骨 / バイオメカニクス |
研究概要 |
本研究の目的は、オーバーヘッドスポーツいて肩障害を予防し、高い競技力の獲得を可能にする肩甲上腕関節の動きを、実測されたデータをもとに提案することであった。昨年度からのデータ収集は継続的に行い、大学生テニス選手がテニスサーブを行っている際の胸郭、肩甲骨、上腕骨の3次運動を、電磁ゴニオメータを用いて実測した。昨年度、肩甲上腕関節の実動域(実際のテニスサーブにおいて用いられた可動域)を時系列的に可視化するために、球面座標系を用いた分析に着手した。本年度は大学生テニス選手18名について各4試技分のデータ(計72試技のデータ)と、比較対象として野球選手11名について各4試技分のデータ(計44試技)を球面座標系上で表し、テニスサーブと投球における実動域の特徴を可視化した。肩甲上腕関節の(肩甲骨に対する上腕骨の動き)の実動域を表す肩甲骨に対する肘の軌跡は、投球においては肘が高い位置まで挙上されつつ肩甲骨面よりも大きく後方に遅れる局面が観察されたが、テニスサーブにおいて肩甲骨面よりも後方の実動域を用いる動きが観察されなかった。この結果を、X軸が肩甲骨面より肘が前方・後方を表す角度、Y軸が挙上角度、Z軸が全試技数に対する頻度(%)とした3次元ヒストグラムを用いて10°刻みで表したところ、肘が肩甲骨面より後方で高く挙上されている実動域の使用頻度は投球においては10%~60%程度だったのに対し、テニスサーブでは0~20%程度であった。この結果は、より質量の大きいラケットを加速するテニスサーブでは、バックスイング期全体において肩甲骨面より後方の実動域を用いないことを示している。今後、さらに各被験者のバックスイング動作の特徴について分析を行い、肩関節障害につながるリスクとその予防法ついて考察する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで取得した大学生テニス選手および大学生野球投手のデータについては、両種目における肩の使い方を詳細に比較することで、それぞれの特徴が見えてきた。しかしながら、昨年度課題としたトップレベルのテニス選手を対象とした測定が、機縁募集により継続的に被験者募集を行っているものの、測定を実施できていない。最終年度には実施できるよう協力を呼び掛けてる。
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今後の研究の推進方策 |
トップレベル選手の測定機会を得るために、様々な選手へ積極的に研究への協力依頼を行っていく。今年度詳細な分析を行ったテニスサーブと投球における肩の使い方の違いについての論文を投稿することに加え、肩の使い方の詳細な分析について、競技レベル間差の分析を行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ収集に必要な消耗品の購入、より測定を実施できる機会を増やすために選手が練習を行っている場所まで出向いて測定実施するための旅費、成果公表を行うための学会参加旅費に使用する予定である。
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