研究課題/領域番号 |
23700754
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
吉岡 伸輔 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (20512312)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 遠心力 |
研究概要 |
本研究の目的は、スキー動作の力学メカニズム解明のために必要となる広範囲動作計測システムの構築である。動作計測はカメラを用いて行われることが一般的であるが、カメラでは原理的に広範囲の計測が難しいことから、本研究では慣性センサーに着目して計測システムを開発している。従来の慣性センサーを用いた計測システムでは、遠心力が考慮されていなかったため、スキーのような遠心力が働く条件下での測定ができないという問題があった。本研究では、遠心力への対処がキーポイントとなる。23年度の主要研究テーマは、遠心力を考慮した計測アルゴリズムの実機テストであった。研究計画は、(1)使用する慣性センサーの選定・購入、(2)センサーと解析用ソフトウェア(MATLAB)との通信テスト、(3)遠心力を考慮したカルマンフィルターのアルゴリズム作成(センサー数:1個)、(4)プログラムコード(MATLAB)の作成、(5)アルゴリズムのテスト(実験室内にて屋外環境を模擬して実験)、(光学式動作計測システムを用いて仮想的にGPSデータを作成して模擬実験)、(6)アルゴリズムの修正・調整等であった。概ね予定通りに進んでいるが、遠心力への対応としてGPSを用いた方法だけでは、センサー数が複数になった場合に精度の面で十分な水準に達しないことも予想される結果が一部得られていることから、2012年4月現在、センサー数が複数の場合であっても精度を落とさないための追加のアルゴリズムを考案し、テストを繰り返している。具体的には、外乱ノイズの多い地磁気データに頼らないアルゴリズムを考案したこと、および、各センサーの基本処理アルゴリズムの見直しを実施したことである。これまでの結果、例えば、基本処理アルゴリズムの見直しだけであっても、測定能力が大きく向上することが明らかとなった(ジャイロデータの積分誤差が半分以下)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、慣性センサーを用いた、スキー動作の力学メカニズム解明のために必要となる広範囲動作計測システムの構築である。23年度の予定は、慣性センサー1個を用いて、基本的なテストを行うことであった。基本テストは当初の予定通り進んだ。一方、センサーが複数になった場合に精度が低下することが予想される結果が得られ、その対処が必要であることも明らかとなった。24年度の予定が複数個を用いたアルゴリズムの作成であることから、この対処も複数個を用いたアルゴリズムの作成の一つとして捉えれば、概ね順調と評価できる範囲であると考えられる。その様な理由から、一部新たな問題が出現したものの、"おおむね順調に進展している。"と自己評価した次第である。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載した予定通りの方策にて研究を推進する予定である。以下が具体的な方策である:(1)センサー数が2個以上の場合のカルマンフィルターのアルゴリズム作成、(2)センサー数を実際に使用予定の21個にして実験室にてアルゴリズムのテスト、(3)アルゴリズムの修正・調整等、(4)GPS模擬データにノイズを付加し、結果への影響を調査、(5)フィルターの耐ノイズ特性を考慮して、GPS機器の選定・購入、(6)GPS機器を用いて屋外で試験、(光学式動作計測システムで得られるデータとの比較試験)、(7)雪上のスキー動作を対象とした実試験(雪上における問題の洗い出し)。また、これまでの研究の結果、慣性センサーと人体の位置関係を正確に把握することが重要であることが分かっているため、その位置関係をこれまで以上に正確に把握する方法についても研究する予定である。具体的には、カメラを用いた動作計測システムとのハイブリッド化をテスト予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
交付申請書に記載した予定通りの使用を予定している。具体的には、物品費(主にGPS購入費用)140万円、旅費5万円、謝金等5万円を予定している。
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