研究課題/領域番号 |
23700756
|
研究機関 | 大阪体育大学 |
研究代表者 |
石川 昌紀 大阪体育大学, 体育学部, 准教授 (20513881)
|
キーワード | ランニングエコノミー / 陸上 / 超音波 / アキレス腱 / マラソン / アフリカ / ケニア / エチオピア |
研究概要 |
陸上中長距離種目の6割以上の世界記録が東アフリカから出ている.彼らの圧倒的な身体能力に注目し,多くの研究者が彼らの骨格筋組成(遅・速筋タイプ)や最大酸素摂取量,先天的・後天的遺伝子解析などを行ってきたが,競技力に関わる決定的な要因は明らかにされていない.本研究は,東アフリカ中・長距離陸上競技選手の走り方に着目し,彼らのランニングスタイルを可能にする下肢の筋腱の形態特徴,さらに彼らの効率的な走行を可能にする筋腱の機能特性を明らかにすることを目的とした.彼らのランニングやジャンプ運動中の下肢筋腱動態とそれらをコントロールしている筋活動を測定し,東アフリカ中・長距離陸上競技選手の走り方を可能にするメカニクスの解明を試みた. 本年度は,昨年度測定した東アフリカの一流中・長距離選手のデータ分析,追加の東アフリカ選手の測定と,その比較対象である日本人中・長距離選手の測定を実施した. その結果,東アフリカ中・長距離陸上競技選手の高いランニングエコノミーが,彼ら特有の下肢の形態(特にアキレス腱モーメントアーム)に関係していることが明らかとなり,その形態を生かし少ない筋活動で身体運動を可能にしていることが明らかとなった. これらのデータはヨーロッパスポーツ科学会議においても招待講演し,国際誌で発表した.また,第25回日本トレーニング科学大会において,トレーニング科学研究奨励賞を受賞した.今回の測定データは,NHKスペシャル,科学雑誌 NEWTON,読売新聞など取り上げられ紹介された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度測定したデータは,一流中・長距離東アフリカ選手の筋腱形態特性に関する論文として国際誌にアクセプトされた.現在2本の論文も投稿中で予想以上の成果が出ている.さらにこれらのデータは,国際会議での招待講演を初め学会発表を終え,第25回日本トレーニング科学大会において,トレーニング科学研究奨励賞を受賞した.また,今回の測定データは,NHKスペシャル,科学雑誌 NEWTON,読売新聞など取り上げられ紹介され,社会反響も大きかった.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度十分に到達できなかった国内選手の測定データの追加を行い,国際学術研究論文としてまとめていく.今年度は2つの国際会議で研究発表を行い,国際誌への投稿を2本行う予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画は今年度十分に到達できなかった国内選手の測定データの追加に関する交通費・謝金,データ分析費としてすべて計上する.
|