研究課題
Secreted Protein Acidic and Rich in Cystein(SPARC)は、一過性の運動によって骨格筋および血液中に増大するマイオカインである。前年度までに申請者らは、SPARCノックアウト(SPARC-KO)マウスにおいて、継続的運動による大腸上皮の前がん病変形成が認められないことを明らかにした。したがって本年度は、このSPARCの大腸発がん抑制作用のメカニズムについて検討を行った。野生型マウスおよびSPARC-KOマウスをそれぞれ安静群、Azoxymethan(AOM)投与安静群およびAOM投与運動群の3群にわけて飼育した。大腸がん誘発剤AOM投与した後、運動群には低強度トレッドミル走運動を週3回負荷した。6週間飼育を行った後、大腸上皮におけるAberrant crypt foci(ACF)形成を観察したところ、野生型マウスにおいてのみ運動による有意な抑制を認めた。さらに、大腸上皮細胞のアポトーシスについて解析を行ったところ、野生型マウスでは運動によりTUNEL陽性細胞の増加とともに活性型Caspase-3およびCaspase-8の増大がみられ、アポトーシスの活性化が示されたが、SPARC KOマウスでは運動によるそれらの変動はみられなかった。さらに、大腸組織内に由来しない外因性SPARCが大腸の腫瘍形成を抑制することを確認するために、組み換え型SPARCを投与する試験を行った。AOM投与により大腸発がんを誘発した野生型マウスに、組み換え型SPARCを週3回、6週間腹腔内投与して大腸上皮のACF形成を観察した。その結果、SPARC投与によりACF形成の有意な抑制が認められた。また、その効果は投与したSPARC濃度依存的であった。以上より、大腸組織に到達した外因性SPARCはアポトーシスを介して腫瘍形成を抑制することが示唆された。
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