研究実績の概要 |
本年度は、繰り返しの重度肉離れ損傷モデルを用いて病理組織学的分析とデータの公表を行った。具体的には、Evans blue dye(EBD)および Periodic acid-Schiff (PAS)法により、繰り返しの筋損傷に伴う筋線維自体の損傷の程度および筋線維の動員の程度をそれぞれ検討した。Wistar系ラットを無作為に繰り返しの重度肉ばなれ損傷群(180EC, 180 deg/sec, n=15)、繰り返しの筋運動群(30EC, 30 deg/sec, n=15)、コントロール群の3群に分けた。繰り返しの運動は、5回×4セットとし、1日おきに計4セッションを行った。PAS染色のサンプルは最初のセッション後に、EBDのサンプルは全てのセッション後にそれぞれ採取した。 筋線維の損傷の指標であるEBDの結果は、全群において損傷筋線維が観察されなかった。加えて、筋細胞に中心核や浮腫・炎症も確認されなかった。以上の結果から、本モデルにおける継続的な筋力の低下や筋重量、筋線維横断面積の減少は、筋線維自体の損傷なく引き起こされることを推察している。加えて、PAS染色において、コントロール群との比較で180ECおよび30ECの色調が全体的かつ2群間で同程度減少していた。このことから、筋線維の動員パターンは30ECと180ECで同程度かつすべての筋線維が動員されていると解釈できる。なお、本研究の結果の一部は、19th Annual Congress of the European College of Sport Scienceにて発表した。
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