研究概要 |
平成25年度は,2型糖尿病骨格筋に対するレジスタンス運動として慢性的なダウンヒルランニングを実施した.筋量維持を目指したレジスタンス運動は,筋損傷を伴うため不活動を助長させる恐れがあるとされてきたが,前年度の結果より本研究にて設定したダウンヒルランニング強度は,筋損傷を誘発しないことが証明されている.したがって.慢性的なダウンヒルランニングの効果が,筋量維持の目的をしたレジスタンス運動による筋損傷を抑制することができるかを検証した.本研究は,正常(NM)及び,Goto-Kakizaki (T2D) ラットを用いた.DH-TRは,傾斜 -10°,20 m/min のトレッドミル走を6週間実施した(NM-TR群, T2D-TR群).無負荷のラットを対照群とした(NM-CONT群, T2D-CONT群).最終DH-TRの24時間後に右後肢前脛骨筋へECC収縮負荷を施した(NM-TR-ECC群,T2D-TR-ECC群).筋損傷割合は,収縮3日後の組織学染色像より解析した.DH-TR後における発揮張力は,T2D-TR群において有意に増加した (p<0.05).ECC収縮誘発性筋損傷の割合は,T2D-CONT群(38.1±10.5%)においてNM-CONT群(23.3±9.9%)よりも有意に高かった(p<0.05).また,DH-TR後の筋損傷割合は,NM-TR-ECC群(5.87±4.56%)だけでなくT2D-TR-ECC群(3.18±2.49%)においても著しい低下を示した(p<0.001).2型糖尿病骨格筋におけるダウンヒルトレーニングは運動誘発性筋損傷を抑制することが示唆された.
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