研究概要 |
本研究では、家族がつくりだす閉じこもりの機序を明らかし、さらには、家族に対する閉じこもり改善のための支援プログラムの構築を目指すことを目的とした。まず、外出支援を主とした家族特性に関する尺度作成のための項目収集(予備調査)を実施した。対象者は地域在住の閉じこもり、あるいはうつ高齢者とその同居家族1名の計10組であった。半構造化面接の結果、13項目を収集した。次に、尺度開発および関連要因検討のための地域高齢者とその家族に対する郵送調査を実施した。対象者は、要介護認定を受けていない65歳以上高齢者とその家族 計1000組であった。調査の結果、高齢者本人からの回答は1,199人であった。同居家族からも回答が得られたものを対象とした結果,同居家族,高齢者本人ともに最終的な分析対象者はそれぞれ659人であった.女性322人(48.9%),平均年齢は72.6±5.0歳であった.閉じこもりは23人(3.9%),うつ傾向者は139人(21.1%)であった.表には記していないがうつと閉じこもりの重複者は13人(2.0%)であった.同居家族の属性は,女性が416人(63.1%),高齢者本人との続柄は配偶者が最も多く473人(71.8%)であった.要介護認定を受けていた者は23人(3.5%)予備調査の結果から得られた家族特性に関する13項目に対し,リスクあり群とリスクなし群におけるU検定を行った結果,6項目で有意な差が尺度を中央値で高得点群,低得点群に2分類し,閉じこもり,うつ傾向の有無の有無との関連を検討した。併存的妥当性は、その他の変数との関連により求めた。ソーシャル・サポートやネットワークとの優位な関連を示した。以上の結果から開発した尺度の信頼性と妥当性が確認された。
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