本研究では、転倒回避動作との類縁性に考慮した「とっさの一歩」を引き出すための体操を考案し、その効果を明らかにすることで、高齢者を対象とした転倒予防体操の指導実践上の課題と可能性を示すことを目的とした。そのため、バランスボードを用いた転倒予防体操「GUT(Guragura Tonton)体操」と新たな測定項目「Functional Reach and Forward Stepping Follow-up(FR-FS)」を考案した。女性高齢者18名を対象に5ヶ月間GUT体操を指導し、その前後に従来のバランス能力測定とFR-FS 測定を行った。その結果、足元をぐらぐらさせてから足を踏み出す動作を実践したGUT体操の一定効果が認められた。さらに、前方への新たな支持基底面を確保する動作を含むFR-FS測定は、動的バランス能力を測定する一つの方法として、その可能性が示唆された。
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