本研究の目的は,活発な子どもを育むことに焦点をあてた健康支援策を検討することである。その支援策として,ICT (Information and Communication Technology)活用の有用性を模索することを目標に進行している。当該年度は,東日本大震災による子どもを対象に,身体活動状況の継続調査,及びこれまでの調査データの報告を行った。 震災から3年が経過したが,被災地では未だ復旧作業が継続されている。このような状況の中,子どもの座位時間に変化がみられ,研究全体を通じたこれまでの子どもの活動状況に関する縦断データでは,仮設住宅に住まう子どもの座位時間が,住まわない子どもに比べて増加していた。このことは,仮設に住まう子どもへの支援策を充実させることの必要性が考えられた。仮設住宅によってもその状況は異なり,仮設格差による活動状況の違いも考えられた。これら仮説に住まう子どもの活動状況を推進されるにあたって,町内外に数十仮設ある仮設を対象とすることは難しく,ICTによる遠隔教育を活用することが重要かもしれない。 これら研究の意義として,まず被災地という特殊環境ではあるが,子どもの身体活動について縦断的に評価できたことは,子どもの体力向上,身体活動指針等を考える我が国の課題に少なからず貢献できると考える。次に,災害など子どもの遊びの環境が変化した時に,子どもの活動支援策を講じる上で貴重な資料となり得る。最後に,ICTにおける遠隔教育を活用する場面として,これら災害時を想定することが必要だと考えられた。
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