高血圧患者において血圧日内変動の異常が虚血性心疾患や脳血管疾患の発生リスクとなることが知られている。また、高血圧では慢性腎臓病がしばしば合併し、心血管疾患リスクが亢進する。本研究では、日本人高血圧患者の血圧変動異常および慢性腎臓病併発に関わる遺伝要因を解明することで、心血管疾患リスクの高い患者を早期に発見し、適切な栄養指導や投薬を実践する上での基盤を構築することを目的としている。 本年度は、日本人高血圧患者を対象として、食塩感受性遺伝子と血圧日内変動との関連性を調べた。また、ヒトの概日リズムを制御する時計遺伝子と血圧日内変動との関連も解析した。合計101個の候補SNPについて、全対象者の解析を終了した。 この101個のSNPについて、遺伝子型と血圧日内変動異常との関連を解析した結果、ACE2遺伝子、SCNN1A遺伝子、SLC12A3遺伝子、MOP4遺伝子、PER2遺伝子、PER3遺伝子が日本人高血圧患者における夜間血圧上昇と相関を示すことが判明した。
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