平成25年度は、前年度に実施した知的障害児の身体活動量に関する基礎研究の成果を、日本体育学会にて発表した。そして、当該年度はスマートフォンを用いた身体活動支援システムの実用化に向けて、他機関や企業の協力を得ながらアプリケーションとwebサーバーの開発を重点的に取り組んだ。 今回の研究期間全体としての成果は、知的障害児の身体活動量に関する基礎研究、およびスマートフォンを用いた身体活動支援システム開発の2点である。 まず、知的障害児の身体活動量に関する基礎研究は、平成23~24年度の2年間にわたって富山県内の特別支援学校高等部の協力のもと、夏季休暇と2学期の2回にわたって測定を実施した。その結果、長期休暇中の身体活動量が登校日に比べて有意に少なかった。特別支援学校の教育活動が生徒の身体活動量の確保に大きな影響をおよぼしているというプラスの面と、長期休暇中では身体活動量の確保が難しいというマイナスの面を図り知ることができた。この結果については国際学会、国内学会にて5件発表した。 基礎研究で明らかになったマイナスの面の改善策として、学校と家庭が連携をして知的障害児の身体活動を支援することができるシステム開発に取り組んだ。平成23~24年度は、まずスマートフォン内臓の加速度計を利用した歩数計の機能を含んだアプリケーション、およびそのデータの解析ソフトウエアを開発し、平成24年度には特別支援学校にて実装試験を行った。そして、平成25年度はそのシステムの実用化に向けて、これまでは歩数を測定し、そのデータをメールでPCに送信し解析を行っていたが、それをGPSを利用して計測した歩行距離のデータをwebサーバーへ随時転送し、、データ管理ができるシステムへと再構築した。これにより、多くの生徒とその家族が同時に利用できるシステムへと改善された。この成果については国際学会にて2件発表した。
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