平成24年度では、虚弱高齢者における筋肉減少症・肥満の表現型の4つのタイプの分類による座位行動(sedentary behavior)および身体活動のパターンの相違を明らかにすることを目的とした。本研究では、東京都板橋区に在住する75歳以上の虚弱高齢女性109名(平均年齢80.9±2.8)を調査対象とした。身体組成測定はDEXA法を用いて、筋肉減少症は四肢の筋肉量(AMM)から骨格筋指数(AMM/身長2)を算出して分類した。身体活動量の調査は、3次元加速度計を10日間連続に装着した後、回収した。活動強度(metabolic equivalents; METs)に基づいて、強度別の身体活動パターンおよび座位行動に要した時間を評価した。 本研究の虚弱高齢女性では、1日当たりの歩数は 3094.4±1957.7歩、座位行動の時間は438.7±94.1分、低強度身体活動の時間は 306.9±100.1分、中・高強度身体活動の時間は 20.6 ± 21.4分であった。正常群、肥満群、サルコペニア群、sarcopenic obesity(SO)群の4 群において、座位行動および身体活動のパターンを比較した結果、座位行動と低強度身体活動の割合において、SO群では正常群と比較して有意な差が認められた。肥満群とサルコペニア群では正常群との有意な差はみられなかった。 本結果より、虚弱高齢者においては座位行動と低強度の身体活動時間が大部分を占め、中・高強度以上の身体活動時間は非常に少ないことが明らかになった。また、サルコペニア単独あるいは肥満単独より、サルコペニアと肥満を合わせたSOが座位行動および低強度身体活動の割合と関連がある可能性が示唆された。
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