自律神経機能の低下は、循環器および代謝疾患の発症・進展に関連し、胃運動の低下は、機能性胃腸症など消化管機能障害に密接に関与している。本研究では、特に食事における自律神経および胃運動応答の個人差に着目し、関連が予想される「遺伝要因」と「環境要因」の解析を実施した。健常者約120名を対象に、食事負荷後の胃電図解析などを実施し、遺伝要因(グレリン、グレリン受容体、コレシストキニン受容体、Gタンパク質β3サブユニットなどにおける各遺伝子多型)および環境要因(食習慣や運動習慣など)、体格などの基礎データとの関連性を調べた結果、若年時の胃運動応答にはBMI、血圧、遺伝因子としてグレリンやGタンパク質β3サブユニットの遺伝子多型がそれぞれ独立して関連することが示唆された。また、個別の食品(コーヒー)を取り上げ、コーヒーが自律神経や胃運動、その他血圧等の生理応答に及ぼす作用を調べるとともに、それら応答にはコーヒーの日常的な摂取頻度が関わることが明らかとなった。
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