研究概要 |
本研究の目的は、肥満に対して抵抗性をもつリポ蛋白リパーゼトランスジェニック(LPL-Tg)ウサギを用いて、エネルギー消費量やエネルギー代謝にかかわる骨格筋・脂肪の遺伝子の発現や血中ホルモンを測定し、肥満になりにくいメカニズムを探索することである。本研究では先ず、二重標識水を使用してウサギのエネルギー消費量を精度よく測定する方法の開発に取り組んだ。その結果、二重標識水注入4時間後と7日後の2時点において血液採取を行うプロトコールを用いることで、ウサギのエネルギー消費量を効率的かつ正確に測定できることを見出した。この方法を用いて通常食下で26週齢の野生型ウサギのエネルギー消費量を測定した結果、平均で340.1 ± 9.3 kcal/日であり、体脂肪率は16.0 ± 1.4%であった。 通常食を与えた状態でLPL-Tgウサギ(雄, n=12)とコントロール(雄, n=12)のエネルギー消費量を上述の方法で測定し、次に、両群のウサギに16週間高脂肪食を与えた後に、再度、二重標識水法によるエネルギー消費量の測定と静注糖負荷テストを実施し、エネルギー代謝関連遺伝子(脱共役タンパク質など)の発現量を測定する目的で骨格筋(腓腹筋とヒラメ筋)や脂肪組織(内臓脂肪と皮下脂肪)等の組織を採取した。全ての被験動物の血中脂質の測定(中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール)とエネルギー代謝関連の血中物質の測定(甲状腺ホルモン、遊離脂肪酸、CRP)とエネルギー消費量測定用に採取した血液(血漿)の二重標識水濃度の分析は終了した。現在、測定された二重標識水濃度からのエネルギー消費量の解析と採取した組織のエネルギー代謝関連遺伝子の発現解析が進行中である。
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