研究課題
これまでに開発した認知機能データベースに登録されたアルツハイマー型認知症患者および軽度認知障害患者のうち、2年以上に渡って経過観察することのできた患者を対象に検査データの経時変化について検討した。CDR0.5では初診時のVSRADは2.29±1.39であるが、2年経過後に2.71±1.53とVSRADは大きな値となった。CDR1では初診時VSRADは2.76±1.65であるが、2年経過後には3.28±1.84に、CDR2では初診時VSRADは3.01±2.04であるが、2年経過後には3.60±2.17となった。どの認知症重症度においても海馬傍回の萎縮は年々進行していることが示された。また、MMSE合計得点は、CDR0.5で23.9±6.6、CDR1で19.2±6.2、CDR2で11.4±3.8であった。次に、CDR0.5におけるMMSE下位項目の正答率は低い方から順に、計算(56.9%)、図形(73.3%)、想起(78.8%)、書字(84.4%)、時の見当識(74.7%)であった。MMSEと海馬傍回萎縮の程度の相関係数は-0.450となり、有意な負の相関が認められた。また,MMSEと脳萎縮領域の割合の相関係数は-0.569となり、有意な負の相関が認められた。これらのことから、脳萎縮の割合とMMSE下位項目の計算、想起に着目することで認知症の早期診断が可能になるものと考えられた。さらに、VSRADは軽度認知障害からアルツハイマー型認知症へ移行するための予測パラメータになる可能性が示された。
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電気学会論文誌C
巻: Vol.134, No.1 ページ: 35-40
10.1541/ieejeiss.134.35