研究課題
本研究は、筋力トレーニングが動脈の粘弾性および血管収縮・拡張物質に及ぼす影響を検討し、筋力トレーニングに対する動脈コンプライアンスの適応機序を動脈の粘弾性および血管収縮・拡張物質の観点から解明することを目的とした。被験者は、筋力トレーニングを実施している男性12名(21.0±2.7歳)、非活動的な男性12名(22.3±1.8歳)であった。筋力トレーニング従事者は、主に大きな筋群を対象に中・高強度の筋力トレーニングを週6回の頻度で実施していた。測定項目は、静的および動的な頸動脈コンプライアンス、頸動脈βスティフネス、および頸動脈の粘性指数であった。結果として、非活動的な男性と比較して、筋力トレーニング従事者の静的動脈コンプライアンスは低く、βスティフネスは高かった(いずれもP以上の結果から、筋力トレーニングが動脈の弾性機能を低下させ、さらに動脈の粘性を高めることが明らかとなったが、そのメカニズムに血管収縮・拡張物質であるET-1やNOxが関与しないと推測される。筋力トレーニングによって動脈の粘性が高まったことは、筋力トレーニングを長期で実施することで心臓からの拍動エネルギーを弾性エネルギーに変換することなく、散逸させていると解釈できる。筋力トレーニングによる弾性動脈における散逸エネルギーの増加は、遠位に位置する末梢動脈の保護に寄与する生理的適応であると考えられる。
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Journal of Physical Fitness and Sports Medicine
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Journal of Sports Sciences
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10.1080/02640414.2011.635311