近年、子どもの生活習慣は大きく変化し、生活リズムの乱れが指摘されている。生活リズムの評価の方法として、自己申告による起床・就床時刻の調査は行われているものの客観性に欠ける面がある。また行動ロガーによる睡眠リズムの調査は高価な装置を必要とし、大規模調査が困難である。そこで本研究では、比較的安価な温度ロガーを用いて、また日常生活の支障とならない末梢(手首)の皮膚温を測定することで、児童の生活リズムの評価を試みた。またアンケートによる生活習慣の調査を行い、リズムと実態の関係性について調査した。A小学校5・6年生児童32名(男16名、女16名)を対象とした。温度および加速度ロガーを取り付けたリストバンドを装着し、10日間のデータ収集を実施した。温度ロガーによる手首皮膚温の1日の変動は、すべての被験者において単相矩形波を示した。就床前後にすみやかに上昇し、就寝中に高く(33℃)、起床後すみやかに低下した(28℃)。日中の変動は±2℃以内であった。温度ロガーによる起床・就床時刻の算出結果と、行動ロガーによる算出結果に高い相関がみられた。温度情報より得られた睡眠覚醒リズムの安定性を求め、同児童に対して行った食習慣や運動習慣に関するアンケート調査の結果との関連を解析した。しかし、両者に有意な相関は認められなかった。本研究から、温度ロガーによる末梢皮膚温の連続測定により、児童を対象とした簡便で安価な生活リズム評価システムを構築できる可能性を示した。今後、生活リズムを改善する取り組みにおいて、客観的な指標として利用されることが期待される。
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