研究課題
本年度は、昨年度作成した骨格筋萎縮モデルである後肢懸垂マウスから得たサンプルの解析を継続して行った。また、ロシアの生物衛星で宇宙に約1か月滞在したマウスのデータとの比較を行った。これらマウスの骨格筋から、ISOGEN試薬(Nippon Gene)を用いてRNAを抽出して、DNAマイクロアレイ解析を行った。解析で得られたデータはGene Spring 11.1(Agilent)によって情報学的な解析を実施した。後肢懸垂は長時間後肢を床から浮かせて飼育するため、後肢への機械的負荷を減少させることができる。一方、宇宙滞在マウスでは宇宙環境での微小重力によって、体全体の自重がかからない。特にマウスの後肢においては筋萎縮が宇宙環境では顕著に生じることが知られている。そのため、2つのモデルを比較することによって異なる実験群ではあるが、後肢の筋萎縮メカニズムに関する重要な知見を得ることが期待でき、今回比較した。その結果、一般的に筋萎縮に関わる遺伝子のいくつかが共通して発現変化していた。また、今回の後肢懸垂は2週間であり宇宙滞在は1か月である。そのため、これら実験期間によっていくつかの遺伝子が違う発現変化をしていた。今年度の結果から、全く環境が異なる状況でも筋萎縮のメカニズムには共通点があることが予想される。また、これらメカニズムは機械的負荷の減少期間に大きく依存することも予想される。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
Advances in Bioscience and Biotechnology
巻: 4 ページ: 75-88