研究課題
本研究では、他者との環境コミュニケーションや他者の行動認知(記述的規範)が環境配慮型ライフスタイルの伝播に及ぼす影響に焦点を当て、文化間でそれらのプロセスにどのような違いがあるのかを明らかにする。24年度前半には、文化間での比較調査のため、日本語、英語、ドイツ語、中国語の質問紙を作成した。各国の共同研究者とそれぞれ協議して各質問紙のチェックを行い、最終版を確定した。日本では北海道、東北、関東、中部、関西の5地域、7大学において調査を実施した。対象者は、各大学の学生とした。中国は大連外国語大学、ドイツはマルティン・ルター大学、アメリカはカリフォルニア州立大学においてそれぞれ調査を4-7月に実施した。各大学において共同研究者が質問紙を配布・回収し、調査者へ回答済み質問紙を送付した。回答数は、国内分が合計662、海外分が合計590であった。回収した質問紙のデータ入力を行い、分析を行った。回答者へのフィードバックのための速報を作成し、国内の調査協力者より各大学の学生に配布した。日本国内でも地域ごとに相当数の回答が集まったため、東日本大震災の影響が見られるか、地域ごとの分析を行った。その結果、震災後の節電行動に関しては、地域ごとに比較すると、関東が最も高く、東北が次いで高かった。重回帰分析の結果、公共の場所での節電の認知が、節電行動に影響を及ぼしており、記述的規範が行動に影響を及ぼした可能性が示唆された。7月には大連外国語大学において共同研究者の李東輝らと打ち合わせを行い、中国の大学生の環境への意識、環境配慮行動の実態について情報交換を行った。中国では環境問題についての報道が多くなっているため、環境問題に関心を持つ学生が増えていることが検討された。
3: やや遅れている
24年度中に日本、ドイツ、アメリカ、中国において国際比較調査を実施し、相当数の回答を得ることができた。よってこの調査については順調に進んでいるが、ペアデータ調査については、質問紙の作成ができていないため、やや遅れているとした。
今後は国際比較調査についてさらに分析を進め、25年度中には国内分の分析についての結果を学会発表する予定である。国際比較分についての学会発表は26年度を予定している。ペアデータ調査については、25年度中に質問紙の作成などの調査準備を行い、26年度に調査を実施する。
平成24年度の次年度使用額が生じた状況については、24年度には当初調査地点であるアメリカ、中国への渡航を予定していたが、アメリカへの渡航を延期したこと、また調査票の翻訳に関わる費用が翻訳会社を介さず知人に依頼したため減額できたこと、データ入力等に関わる謝金の額が当初予定よりも減額できたことによる。次年度の研究費の使用予定としては、24年度に実施した調査について、アメリカ心理学会等の国内外での学会発表のための旅費が必要となる。また国際比較調査についての分析補助、論文執筆のための資料収集の研究者補助謝金、英語論文校閲費用として用いる予定である。
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Environment & Behavior
巻: Online version ページ: 1-36
10.1177/0013916512458579
http://www.ne.jp/asahi/ando/kaori/
http://www.ne.jp/asahi/ando/kaori/genkou/sokuhou12.pdf