研究課題/領域番号 |
23700865
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研究機関 | くらしき作陽大学 |
研究代表者 |
渡邉 照美 くらしき作陽大学, その他部局等, 講師 (60441466)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 死別 / 生涯発達 |
研究概要 |
本研究では、青年が死別により、身近な他者を喪うことによって、何を学ぶのかという点を「死別経験後の人格的発達」と捉え、量的・質的分析を用い、肯定的・否定的両側面から明確にし、死別経験後の人格的発達に関連する要因を検討することが目的である。 平成23年度は、死別経験が、生涯発達的にどのような意味をもつのかということに焦点をあて、以下の2つを中心に研究を行った。 1.理論的検討として、青年期と死別経験後の心の変化(否定的、肯定的)に関する国内外の論文を概観し、その中で喪失経験後の心の発達がどのような文脈で研究され始め、現在どのように展開されているのかについて、先行研究の成果とそれらの問題点を整理した。青年期の場合は、死に対する恐怖や不安に関する研究が多く、身近な他者を喪うことによる成長・発達についてはほとんど検討されていないことが明らかになった。 2.青年期における死別経験後の心の発達の内的構造を明らかにするため、大学生215名を対象に質問紙調査を実施した。分析する際には、死別経験者のみを対象としたため、151名の分析を行った。その結果、死別経験後の人格的発達として、「他者理解の深化」「自己・他者信頼感の喪失」「生と死への関心」「死への恐怖と命の大切さ」「自己の成長」「死からの逃避」の6つが認められた。また死別経験後の心の発達に関連する要因を検討した結果、関連要因として、死別経験の衝撃度や故人を思い出す程度等が認められた。この結果を学会発表し、論文としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、文献調査によって理論的検討を実施できたこと、質問紙調査を実施し、その結果を報告することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、平成23年度に実施した質問紙調査に改善を加え、調査対象者を増やし、質問紙調査を実施する予定である。平成23年度は大規模な調査が行えなかったため、今年度実施する。その際には、平成23年度に使用しなかった研究協力者への謝金やデータ入力協力者への謝金を使用する計画を立てている。 また、平成24年度後半には、面接調査を実施する。対象者は青年期にある死別経験者男女各15名合計30名を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
質問紙調査の協力依頼のための旅費や協力者への謝金、データ入力協力者への謝金等が必要である。また面接調査も実施予定であるため、質問紙調査と同様、調査協力者への謝金や面接データ書き起こしのための謝金として研究費を使用する予定である。 成果報告のための学会参加や講演会等も行う予定であるので、平成23年度以上に旅費が必要になると思われる。
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