本研究では、青年が死別により、身近な他者を喪うことによって、何を学ぶのかという点を「死別経験後の人格的発達」と捉え、量的・質的分析を行い、肯定的・否定的側面から死別経験後の人格的発達の中身を把握した上で、死別経験後の人格的発達に関連する要因を明らかにすることが目的である。また死に対して、青年がどのようなイメージを抱いているのかについても明らかにすることが目的である。平成25年度は本課題の最終年度であるため、以下の調査とまとめを行った。 1.青年にとっての死のイメージ調査 青年期にある大学生68名に対して、質問紙調査の自由記述により、死のイメージと死と向き合うことのイメージを明らかにした。多くは「向き合うことが怖い」「今は考えられない」「まだまだ先のこと」といった否定的で実感のないものとしてのイメージであったが、死別経験者であって、死別経験後に変化を感じていた群は、死のイメージが否定的なものだけではなく、肯定的であることが明らかになった。 2.死別経験後の人格的発達に関する質的調査 青年期にある大学生9名に対し、半構造化面接を実施した。その結果、平成23年度に実施した質問紙調査で得られた死別経験後の人格的発達の内容(「他者理解の深化」「自己・他者信頼感の喪失」「生と死の関心」「命の大切さ」「自己の成長」「死への恐怖」)と類似した結果が得られた。 3.最終年度としてのまとめ 新青年心理学ハンドブック(福村出版、2014年1月出版)の「死に対する態度」の部分に3年間の成果をまとめた。
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