研究課題/領域番号 |
23700876
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研究機関 | 公益財団法人労働科学研究所 |
研究代表者 |
落合 信寿 公益財団法人労働科学研究所, 研究部, 研究員 (90386649)
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キーワード | 人間生活環境 / 色彩科学 / 被服学 / 交通安全 |
研究概要 |
蛍光色や再帰性反射材を用いた高視認性安全服は、交通場面における車いす障害者の安全確保に応用できる。故に、欧州のEN規格に適合した車いす障害者向けの高視認性安全服・防護具の開発は重要な意義があると思われるが、そのためには、ユーザである車いす障害者のニーズを的確に捉える必要があるだろう。実用化に際しては、色に対する嗜好性や着用時の気分・感情といった情緒的側面での満足感が得られ、かつ視認性や誘目性等の視覚効果の高い素材を用いた被服の開発が求められる。本研究は、ユーザの嗜好性と高視認性素材が有する視認効果の両面において優れた特性を有する車いす障害者向けの高視認性安全服・防護具の試作開発を行なう事を目的としている。 平成24年度は、高視認性安全服の試作開発を効率的に実現するため、その前段階として安全服のデザイン案決定に必須となる色仕様に関連する文献調査を中心に実施した。色の視認性、誘目性など色の機能的特性に関する実験研究、色彩嗜好、色の感情効果に関する調査研究など、色彩心理に関する既往研究の成果をふまえ、視認性、誘目性といった色の機能的側面において優れた特性を有する黄と、民族・文化を超えて普遍的に高い嗜好性を有する青の二色を組み合わせた配色効果により、安全服における高い視覚効果と情緒的側面での満足感の両方を実現できる可能性が示唆された。また、より視覚効果の高い安全服を実現するために、最近ユニフォームに利用されつつある蛍光反射材の導入について検討する必要性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度は、車いす利用の障害者および介護者を対象とした高視認性安全服・防護具のニーズ調査と高視認性安全服・防護具に用いる蛍光色に対する嗜好性調査の両方を実施する予定であったが、病気のため年度途中に体調が悪化し、平成24年9月より現在に至るまで、病気療養のため休職中であり、研究の進捗が調査の実施までの段階に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
所属機関の他の研究者や関連の人的ネットワーク等に協力を要請するとともに、障害者団体等の外部機関への協力を打診し、本年度に実施できなかった車いす障害者対象の調査ならびに安全服の試作をなるべく早く実施したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する予定の研究費が生じたのは当初の計画で予定していた調査の進捗が十分でなかったことに起因している。次年度の研究費については、本年度実施できなかった車いす障害者へのニーズ調査ならびに蛍光配色の嗜好性調査の実施のために 使用する予定である。また、主要な物品購入として、使用色の物理的測定を実施するための光学計測機器(色彩輝度計)の購入を予定している。
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