研究課題/領域番号 |
23700882
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
石川 匡子 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (80315598)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 調理と加工 |
研究概要 |
塩専売法が廃止されて以降、にがり成分を含んだ塩が多数販売されるようになり、漬物や焼き魚などの調理に用いた際、高純度塩(旧専売塩)よりも塩味がまろやかで美味しく感じるというという理由から愛用する消費者が増加している。これらにがり成分を含んだ塩は、高純度塩とは異なり、結晶粒径が大きく、製造方法により結晶形状が一定でないため、付着性や溶解速度が異なってくる。同じ添加法でも料理の味が異なる理由として、塩の成分の相違のみならず、用いる塩の物性も重要であり、それらが食品表面上での溶解性や、内部への浸透性に影響を及ぼすことで最終的に食品の味に影響するのではないかと考えられる。以前、我々は同一成分で結晶粒径が異なる高純度塩を用いた呈味性の相違について検討してきた。現在までの研究で、食品表面上での塩の溶解性には結晶粒径が影響し、それに伴い浸透度合も異なることを見出した。そこで、本研究では、同一粒径で成分が異なる塩を用い、モデル食品や食品に振りかけることで、塩の溶解速度並びに食品成分にどのような影響を与えるか、また以前開発した、高純度塩の食品表面上での溶解速度測定のための新規評価法がにがり成分を用いた塩にも応用可能か検討した。その結果、にがり成分を含む塩は、少量であっても、対象とする食品サンプルの離水を促進させること、塩を一定時間浸透させたサンプルの塩味はにがり成分を含んだ塩の方が強いことが分かった。また、食品表面上におけるにがり塩の溶解速度も、塩が持つ電解質の特性を利用し、モデル食品上で塩が溶解した際に変化する電気伝導度をLCRメーター装置によりリアルタイム測定した。その結果、高純度塩を用いた場合と同様、食品表面上での溶解速度を経時的に測定でき、同一成分で結晶粒径が異なる塩を測定した時と同様、にがり成分を含んだ塩においてもこの評価法は適応可能であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度内では、モデル食品を用いたにがり成分含有塩の溶解速度・浸透度合測定法の確立を目指していた。モデル食品を対象とした溶解速度・浸透度合測定システムを確立することができた。しかし、実際の食品はモデル食品と違い、硬く割れやすいため、浸透度合測定においてあらゆる食品に対応できるよう、現在電極に改良を重ねている。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は、実際に食品上での塩の溶解速度・浸透度合測定ならびに塩の溶解・浸透後の食品の理化学分析を実施する予定である。23年度に得られたモデル食品のデータを基盤とし、大根やジャガイモなどの食品にも応用可能か、食品にどのような影響を及ぼすかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
硬く割れやすいなどの問題がある食品に対しても対応可能なように浸透度合測定用電極の改良中であり、予算に残額が生じた。現在も改良途中であり、今後も継続し、24年度の研究である実際の食品を用いた溶解速度・浸透度合測定システムの確立へ繋げる予定である。
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