研究課題
日本語は多様なテクスチャー表現を有する。その多様性を支えるのは、擬音語・擬態語の豊富さである。擬音語・擬態語は高い感覚訴求力を有するが、その脳内表象は未解明である。そこで本研究は、テクスチャーを表す擬音・擬態語が、脳内でどのように処理、表現されているか、脳磁計(MEG)を中心とした脳機能イメージング法を用いて解明することを目的とする。オノマトペ刺激として、ABAB型オノマトペ(さくさく等)、これに対応するABCD型の意味語(さくげん等)、発音特性の類似するABABオノマトペ様無意味語(たくたく等)とABCD型無意味語(たくげん等)が生成可能な74組、計296語の刺激を日本語の語彙全体から抽出した。これらのモーラ長を一定にし、音声刺激を作成した。セット内での音声刺激提示順序をランダム化し、約5秒の間隔で、計4セット、1184刺激を被験者13人に提示した。この間の脳神経応答の時系列パターンをMEGを用いて解析した。課題の平均正答率が60%を上回る被験者9名に関して、Minimum norm estimationを用い、脳表750点の電流密度をもとに信号限を推定した。さらに関心領野として、中前頭会、下前頭回、中心前・後回、縁上回、角回、側頭葉後部を設定し、各領野での合成電流密度波形を解析した。オノマトペと非オノマトペが分離する第三モーラの脳活動にに着目し、品詞と意味の2要因について、信号源強度の分散分析をおこなった。右縁上回、右角回、右側頭葉後部において、ABAB型オノマトペ>ABCD型有意味語となる有意な信号強度増加を確認した。この結果は、ABAB型オノマトペの第三モーラにおける繰り返し構造が、音韻・意味処理を強化している可能性を示唆している。本研究によって、日本語に頻出するオノマトペ特有の認知処理メカニズムが見いだされた。
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Neurophotonics
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Brain and Language
巻: 126 ページ: 208-216