• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

マイタケを利用した高齢者向け食肉調理法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23700889
研究機関新潟医療福祉大学

研究代表者

山崎 貴子  新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (60318574)

キーワード食肉軟化 / マイタケ / プロテアーゼ
研究概要

本研究の目的は、良質なタンパク質源ではあるが硬さ・噛み切りにくさのために高齢者にとって食べにくい食肉をマイタケプロテアーゼの利用により、軟らかく食べやすくする調理方法の開発である。前年度までの研究において、注射針で肉内部にマイタケ抽出液を注入して加熱する方法により、課題であった「肉表面のべたつき」を伴わずに肉を軟化することが可能であること、マイタケプロテアーゼを作用させるためには70℃以下で加熱する必要があることを確認した。
平成25年度は、調理過程における食肉のタンパク質変化について調べた。マイタケ抽出液を注入後、70℃で2時間または6時間スチーミングした牛もも肉(mi2h肉, mi6h肉)を、未処理のまま同様に加熱した肉(nt2h肉, nt6h肉)と比較した。
水溶性タンパク質量は加熱により減少し、未処理肉(nt肉)では加熱時間の長いnt6h肉がnt2h肉に比べ少ない傾向が見られた。一方で、マイタケ抽出液で処理した肉(mi肉)では、mi6h肉がmi2h肉よりも多い傾向であった。mi肉とnt肉を比べると、mi肉の方が水溶性タンパク質量が有意に多く、またBradford法に比べ低分子のペプチドも測定できるBCA法における定量値では、その差がより大きかった。
SDS-PAGEでは、加熱により水溶性タンパク質の分子量パターンが大きく変化し、バンド数が減少した。nt肉とmi肉を比べると、mi肉では15kD以下のバンドが濃かった。筋線維タンパク質も同様にnt肉に比べmi肉では15kD以下のバンドが濃く、mi6h肉ではミオシン重鎖と思われる200kD のバンドがnt肉に比べ薄かった。
以上より、肉は加熱により不溶化するが、mi肉ではマイタケプロテアーゼの影響によりタンパク質が分解されて低分子化したこと、それに伴って水溶性タンパク質量も増加したことが示唆された。今後は、肉基質タンパク質(コラーゲン)についても調べる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は調理過程における食肉のタンパク質変化について調べた。
予定では、水溶性タンパク質、筋線維タンパク質のほか肉基質タンパク質について調べるはずであったが、肉基質タンパク質のデータが未取得である。肉基質タンパク質の抽出には、低温での長時間作業が必要であるが、授業、卒業研究および大学院生の研究との兼ね合いで、冷蔵庫の長時間使用が難しかったことが理由である。

今後の研究の推進方策

現在、データ未収集の肉基質タンパク質について、定量やSDS-PAGEによる分析を行う。
また、これまでの基礎研究のデータや高齢者施設での調査結果、また高齢者施設等で働く管理栄養士の評価や意見をもとに、高齢者向けの食肉調理法の開発をさらにすすめる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The effect of masseter activity patterns during chewing on suprahyoid activity in subsequent chewing cycles.2014

    • 著者名/発表者名
      Y. Miyaoka, I. Ashida, H. Iwamori, Y. Tamaki, S. Kawakami, T. Yamazaki, and N. Ito
    • 雑誌名

      Journal of Behavioral and Brain Science

      巻: 4 ページ: 69-74

    • DOI

      10.4236/jbbs.2014.42009

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Factors determining the detection time to flavor in healthy adults.2014

    • 著者名/発表者名
      S. Miyaoka, T. Yamazaki, N. Ito, and Y. Miyaoka
    • 雑誌名

      Journal of Behavioral and Brain Science

      巻: 4 ページ: 114-119

    • DOI

      10.4236/jbbs.2014.43015

    • 査読あり
  • [雑誌論文] まいたけによる豚肉軟化2013

    • 著者名/発表者名
      御子貝佳実, 小林未来, 伊藤直子, 岩森大, 山崎貴子
    • 雑誌名

      新潟栄養・食生活学会誌

      巻: 16 ページ: 10-12

  • [雑誌論文] Classification of masseter activity patterns during chewing in healthy young adults: The effect of taste signals.2013

    • 著者名/発表者名
      Y. Miyaoka, I. Ashida, T. Yamazaki, N. Ito, Y. Tamaki, S. Kawakami, and H. Iwamori
    • 雑誌名

      Journal of Behavioral and Brain Science

      巻: 3 ページ: 432-439

    • DOI

      10.4236/jbbs.2013.35045

    • 査読あり
  • [学会発表] グミの呈味成分による咬筋活動パタンの分類2013

    • 著者名/発表者名
      宮岡洋三, 蘆田一郎, 山崎貴子, 伊藤直子, 玉木有子, 川上心也, 岩森大
    • 学会等名
      日本味と匂学会
    • 発表場所
      宮城県仙台市、東北大学
    • 年月日
      20130905-20130907

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi