研究課題/領域番号 |
23700892
|
研究機関 | 長野県短期大学 |
研究代表者 |
小木曽 加奈 長野県短期大学, その他部局等, 講師 (30435284)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 発芽玄米 / 清酒 / 酒粕 / 呈味 / 機能性 |
研究概要 |
発芽玄米清酒ならびにその酒粕は、酒米玄米を1-2mm発芽させたものを原料とする清酒とその残さである。一般的な清酒醸造過程で取り除かれてしまうぬかや胚芽の成分がこれら清酒や酒粕にそのまま残ることで食品の機能性に富むことが予想される。廃棄物利用の観点から、まずは酒粕においてその有効利用方法を検討するためにその呈味性や香気成分について分析を行った。GC-MS分析において、発芽玄米酒粕は、同じ酒米玄米を精米して作成した酒粕(吟醸酒粕)と比べるとethyl caproateやethyl octanoateなどの「吟醸香」は減少していた。その一方、発芽玄米酒粕にはisobutyl alcohol、isoamyl acetateなどのiso化合物が多かった。これらの成分はウイスキーや泡盛の香気成分として検出されるもので、熟成した香りとして供されるものであった。 酒粕の有効利用方法を検討するための加工手法として製パンを行った。これらの製パンについて官能試験を行ったところ、匂いについては吟醸酒粕製パンよりも発芽玄米酒粕製パンの方が「香ばしさ」、「酒粕臭」においてより強くなることが示された。味についても「酒粕味」が発芽玄米酒粕製パンの方が有意に強いことが示された。また発芽玄米酒粕製パンの方が「コク味」、「塩味」ともに強くなる傾向が見られた。これらの製パンの香気成分をGC-MSで分析したところ、吟醸酒粕製パンには「吟醸香」成分はほとんど残っていなかったが、発芽玄米酒粕製パンにはiso化合物が多く残っており官能的に「香ばしさ」として影響したと考えられる。呈味については今後さらに検討を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発芽玄米酒粕と、その同じ酒米玄米を精米して作成した酒粕(吟醸酒粕)について官能試験、機器分析を用いて比較検討を行ってきた。その結果、それぞれの酒粕において香気成分や呈味について異なることがわかった。 製パンなどの加工を行い、その成分を検討することでその高付加価値化の方向性が見えた。
|
今後の研究の推進方策 |
呈味性検討のために、発芽玄米酒粕の中の窒素化合物分析を推進する予定である。その一方で、特にコク味の検討では、最新研究の結果から窒素化合物だけでなく脂肪酸関連化合物もコク味に関連があることがわかってきた。それゆえ、窒素化合物だけでなく脂肪酸関連化合物についても検討を行って行きたいと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
発芽玄米酒粕の中の窒素化合物分析及び脂肪酸関連化合物分析に係る研究に使用予定。
|