研究概要 |
本研究課題の最終目的は、ESRスピントラップ法により複数の活性酸素種に対する食品の抗酸化能評価法を確立することである。平成24年度の具体的な研究内容は、各活性酸素種を特異的に消去する物質を各々の抗酸化能力を表す標準物質として選択し、確立した方法で食品を測定が可能であるかを検討した。 ESR スピントラップ法で求めた抗酸化能力は、スーパーオキシドラジカルをSOD ユニットとして評価するように、標準物質当量として表される。標準物質には他にTrolox、GSH などがあり、それぞれ消去することができる活性酸素種が異なる。また、確立した本計測法は活性酸素種発生系に紫外光 (UV系) を用いているため、UVによって分解することがない標準物質を選択した。スーパーオキシドラジカルと一重項酸素はGSH (Glutathione)、アルコキシラジカルはTrolox (6-Hydroxy-2,5,7,8-tetrametylchroman-2-carboxylic acid)、ヒドロキシラジカルはマンニトール (mannitol)、過酸化ラジカルはαリポ酸 (α-lipoic acid)、アルキルラジカルはCYPMPO (2-(5,5-Dimethyl-2-oxo-2λ5-[1,3,2]dioxaphosphinan-2-yl)-2-methyl-3,4-dihydro-2H-pyrrole 1-oxide) が本計測法に適していることを確認し、6種の活性酸素種すべてについて、抗酸化能力を表す標準物質を選択することができた。 以上、抗酸化能を評価するために不可欠である標準物質について、全ての活性酸素種に適した物質を選択し、実際に食品の抗酸化能計測及び評価を可能にしたことは、食品の抗酸化能評価法として広く世間に利用されるために不可欠のことであり、非常に重要な成果であるといえる。
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