研究課題
平成24年度にISO5492食感表現用語より選択したブロイラーと地鶏肉の食感の違いを表すと考えられた3種類の用語(ここではA、B、Cと呼ぶ)について、以下の検討を行った。(1)定量的官能評価に向けた参照食品の選択および評価用紙の設計3種類の食感評価用語を用いた定量的官能評価に向け、官能評価時にパネリストに呈示するための参照食品を選択した。具体的には、参照食品候補となる食品を鶏肉の官能評価時を同じ形態になるよう調製し、3種類の食感評価用語に相当する物性の機器分析を実施した。その結果より、用語AおよびBについては4種の参照食品を用いた7段階スケール、用語Cについては3種の参照食品を用いた6段階スケールの等間隔性を持った評価基準をそれぞれ作成することができた。これに基づき、3種の食感評価用語に関するラインスケールでの評価用紙を設計した。(2)ブロイラーと地鶏肉の食感の違いに関する定量的官能評価食感評価に経験のある分析型パネルに対して(1)で設計した評価用紙と参照食品に基づきトレーニングを実施した後、ブロイラーと地鶏肉の食感の違いについて定量的官能評価を実施した。具体的には、ブロイラーと地鶏肉の大腿二頭筋(もも)、浅胸筋(むね)、烏口上筋(ささみ)を内部温度72℃となるように加熱調理し、上記パネリストに参照食品と同時に呈示して用語A、B、Cに関する食感を評価させた。官能評価は2反復まで実施し、その結果、食感A、Bについてはニワトリの種類および部位について有意な主効果および交互作用がみとめられた。食感Cについては、部位の効果および部位とニワトリの種類の交互作用が有意であった。食感A、B、Cのブロイラーと地鶏肉での違いは部位によって異なることが示唆された。これらの結果より、地鶏肉において「地鶏肉らしい食感」を呈するかどうかは部位によって異なる可能性があるものと考えられた。
3: やや遅れている
初年度は、東日本大震災にともなう東京電力福島第一原子力発電所事故に関連する緊急対応研究課題への対応に注力し、全体的に研究の進行の遅れにつながった。この遅れを完全に取り戻すことはできず、今年度も当初計画に比して達成が遅れている。
本研究については1年間の延長をしたため、定量的官能評価について必要な反復数が確保できるよう実験を行うとともに、一般パネル等を用いた消費者型官能評価を実施する。これらの「地鶏肉らしい」と消費者が感じる食感と分析型パネルによる官能評価結果をつきあわせ、「地鶏肉らしい食感」とはどのようなものかを明らかにする。
初年度において、東日本大震災にともなう東京電力福島第一原子力発電所事故に関連して生じた緊急対応研究課題に注力したことから、全体的に計画の遅れが生じている。25年度についても計画の遅れを完全に取り戻すことができず、定量的官能評価について必要な回数の反復が実施できず、消費者型官能評価も実施ができなかったため、次年度使用額が生じたものである。ブロイラーと地鶏肉の違いに関する定量的官能評価について、必要な回数の反復が得られるように実施するとともに、一般パネル等を用いた消費者型官能評価を実施する。次年度使用額はこれらに充当する。
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Meat Science
巻: 96 ページ: 994-1002
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