最終年度は、定量的分析型官能評価について、さらに1回の反復を実施した。具体的には、ブロイラーと地鶏肉の大腿二頭筋(もも)、浅胸筋(むね)、および烏口上筋(ささみ)を内部温度72℃となるように加熱調理し、平成24年度までに選択した食感評価用語A、B、Cについて定量的な評価ができるように訓練した専門家型官能評価パネルを用い、定量的な評価を実施した。平成25年度までに実施した2反復の結果とあわせた合計3反復の結果を解析したところ、食感A、Bについてはニワトリの種類および部位について有意な主効果および交互作用がみとめられた。食感Cについては、部位の効果およびニワトリの種類と部位の交互作用が有意であった。 また、研究所内一般パネルを用いた消費者型官能評価を実施した。具体的には、33名からなる選抜及び訓練をされていない一般パネルに対して、上記分析型官能評価で用いたものと同じサンプルについて、「地鶏肉らしさ」を、各自の自由な心証と判断基準により評価させた。その結果、「地鶏肉らしさ」に対してはニワトリの種類や部位の違いは有意な影響を及ぼしておらず、ニワトリの種類と部位の交互作用のみが有意であったことから、一般消費者が判断する「地鶏肉らしさ」は、現に地鶏であるかどうかとは関係無く評価されているものと考えられた。 さらに、消費者型官能評価と分析型官能評価の結果について、消費者型官能評価における「地鶏肉らしさ」評点を目的変数に、分析型官能評価における食感A、B、Cの評点を説明変数にして部分最小二乗(PLS)回帰を実施したところ、食感Cの寄与が特に大きいことが明らかとなった。これらのことから、「地鶏肉らしい食感」において重要な感覚要素は食感Cであることが強く示唆されたものと考えられた。
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