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2013 年度 実績報告書

高脂肪食誘導性の非肥満糖尿病発症メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 23700900
研究機関千葉大学

研究代表者

李 恩瑛  千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60583424)

キーワードインスリン / 高脂肪食 / 糖尿病
研究概要

平成25年までの研究から高脂肪食負荷mIRマウスの糖尿病発症には、当初予想していた膵β細胞の脂肪毒性ではなく脂肪組織と肝臓での代謝変化が重要であることが明らかになった。特に、脂肪組織の脂肪分解が高脂肪食負荷により亢進することが判明し、脂肪分解により産生されたグリセロールが肝臓に取り込まれ、糖新生に利用され、高血糖が惹起されることが解明された。そこで、最終年度の平成25年度には、高脂肪食負荷により脂肪組織での脂肪分解が亢進する分子機構を解析した。その結果、mIRマウスの脂肪組織では、通常食下ではPPARγの発現が低下し脂肪分解が抑制されているものの、高脂肪食負荷時にはこの抑制がマスクされ、脂肪分解が過剰になることが明らかになった。そこで、mIRマウスに野生型マウスの皮下脂肪を移植したところ、高脂肪食負荷時の高血糖は有意に抑制され、脂肪組織のインスリン作用障害が高脂肪食負荷mIRマウスの糖尿病発症に重要な役割を果たすことが証明された。一方、マウスにグリセロールを投与すると肝臓での糖新生酵素の発現が誘導されることから、糖新生の亢進は肝細胞内の解糖系基質の量によって規定されることが明らかになった。
本研究により、インスリン抵抗性マウスを用いて高脂肪食負荷時の糖尿病発症の1つのメカニズムが解明された。すなわち、脂肪組織での脂肪分解の亢進によりグリセロールが過剰産生され、肝臓で糖新生が亢進し糖尿病を発症するというメカニズムである。我々アジア人では肥満は軽度であるが糖尿病を発症する例が多く、mIRマウスと同様の機序が関与している可能性がある。脂肪細胞での脂肪分解抑制や肝臓での糖新生の抑制が新たな糖尿病治療標的となる可能性も示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Cephalic phase insulin secretion is KATP channel-independent.2013

    • 著者名/発表者名
      Seino, Y., Miki, M., Fujimoto, W., Lee, EY., Takahashi, Y., Minami, K., Oiso, Y., Seino, S.
    • 雑誌名

      J Endocrinol

      巻: 218 ページ: 25-33

    • DOI

      10.1530/JOE-12-0579.

    • 査読あり
  • [学会発表] Unsuppressed Lipolysis in Adipose Tissue by Insulin Is Critical for Glucose Homeostasis under High Fat Diet2013

    • 著者名/発表者名
      Lee, E-Y., Sakurai, K., Toda,C., Minokoshi, Y., Miki, T.
    • 学会等名
      49th EASD Annual Meeting
    • 発表場所
      Barcelona, Spain
    • 年月日
      20130923-27
  • [学会発表] インスリン受容体変異マウスの高脂肪食感受性糖尿病発症のメカニズム2013

    • 著者名/発表者名
      李恩瑛 櫻井健一 戸田知得 箕越靖彦 三木隆司
    • 学会等名
      第56回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      20130516-18
  • [学会発表] VEGFシグナル阻害はSDTラットにおけるβ細胞傷害と糖尿病発症を抑制する2013

    • 著者名/発表者名
      向英里、太田毅、河村治清、李恩瑛、森田亜州華、笹瀬智彦、稲垣暢也、岩永敏彦、三木隆司
    • 学会等名
      第56回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      20130516-18
  • [学会発表] 高脂肪餌により糖尿病を発症する変異インスリン受容体ノックインマウスの肝臓における遺伝子発現

    • 著者名/発表者名
      櫻井健一、李恩瑛、橘香穂里、石川耕、三木隆司
    • 学会等名
      第56回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      熊本
  • [備考] 代謝生理学研究室ホームページ

    • URL

      http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/physiol/index.html

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公開日: 2015-05-28  

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