研究課題
食用油の製造・加工過程で生じるトランス脂肪酸が注目されている。トランス脂肪酸は、日常生活でよく食するマーガリンやスナック菓子にも含まれているが、一方で人体への影響が危惧されている。トランス脂肪酸は脂質代謝異常から動脈硬化を促進することや、乳癌の危険因子であることなどが報告されているが、その代謝産物には抗炎症作用や癌の抑制作用があることなどの報告もあり不明な点が多い。さらに、脂質の合成・代謝の中心臓器である肝臓でも、トランス脂肪酸が脂肪肝を増悪させることを報告されている。しかしながら、脂肪性肝疾患での発癌や抗原特異的な免疫能に対する影響はわかっていない。今回我々はトランス脂肪酸が肝臓での発癌に与える影響を、免疫学的な観点と脂肪酸代謝により生じる酸化ストレスの観点から検討した。マウスの免疫担当細胞を用いたHBワクチンによる抗原特異的な免疫能の検討では、コントロール群と比較し低下していたが、他の脂肪酸高含有食でもほぼ同等であった。抗原非特異的な反応においても、トランス脂肪酸群は他の脂肪酸群と同等であった。しかしながら、肝内の酸化ストレスの亢進、発癌の増加がトランス脂肪酸群で確認された。今後は、発癌に及ぼした酸化ストレスの産生亢進に関与した機序についての解析を中心に行う予定である。
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