研究課題/領域番号 |
23700909
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
鈴木 拓史 山形大学, 教育文化学部, 助教 (50587110)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 小腸機能回復 / 中心静脈栄養法(TPN) / 経腸栄養法 / 栄養素 |
研究概要 |
本研究は、非経腸栄養下の小腸機能低下時からの小腸機能回復に及ぼす栄養素の役割について、栄養素(糖質、脂質、アミノ酸)の小腸機能回復効果とその作用メカニズムの詳細を明らかにすることを目的としている。 平成23年度は、中心静脈栄養(TPN)モデル動物の実験系構築と栄養素の胃内強制経口投与による影響について検討を行った。10週齢のwistar系雄ラットの頸静脈よりカテーテルを挿入し、各匹ごと1チャンネルのシリンジポンプを用いて高カロリー輸液を210 kcal/kg/dayとなるように7日間投与した。手術対照群(Sham群)に対して、TPNを7日間施行したTPN群では、小腸3部位(十二指腸、空腸、回腸)に存在する栄養素の消化・吸収に関連する遺伝子の発現が顕著に減少することをリアルタイムRT-PCR法により確認した。加えて、クリオスタット法を用いて小腸の凍結薄切切片を得た後、HE染色法により小腸の形態を観察したところ、絨毛高は著しく低下し、絨毛の形態にも異常を来していた。また、二糖類分解酵素の活性(スクラーゼ活性、マルターゼ活性、ラクターゼ活性)を測定したところ、TPN群において二糖類分解活性の低下が認められた。以上のことより、カテーテル留置術後7日間のTPNにより、非経腸栄養モデル動物として十分に比較・検討が可能なモデル動物の構築に成功した。平成23年度はモデル動物の作出に時間を要したため、栄養素の投与試験を完了するまでには至らなかった。しかしながら、今回構築した実験系は、本研究の目的を達成するための基盤となるモデルであり、次年度以降に計画している栄養素投与試験結果をより具体的に説明することができると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成22年12月より、山形大学に赴任し実験環境の整備に努めてきたが、平成23年3月の震災の影響で実験室の整備に半年ほど時間を要した。加えて、カテーテル留置術の検討に時間を要したため、当初の実験計画にある栄養素の投与試験までには至らなかった。現在は平成23年度の計画にある栄養素投与試験を順次遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の遅れを取り戻すために、構築したモデル動物実験系を用いて注目する栄養素の投与による小腸機能回復機構の詳細を解析する。また、小腸モデル細胞株を用いた実験系の立ち上げも行う予定である。本研究の最終的な目的を達成するためにはin vivoとin vitroの双方のデータ蓄積が重要となるため平行した研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物モデルを用いた実験系の機器(シリンジポンプ)追加購入に25万円、細胞培養系の実験立ち上げと解析に50万円、その他実験消耗品(遺伝子発現解析、タンパク質発現解析関連試薬、チップ、チューブ等)に25万円、国内学会参加費用として10万円を予定している。
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