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2011 年度 実施状況報告書

脂肪組織のビタミンA代謝およびその肥満抑制効果に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23700919
研究機関長崎県立大学

研究代表者

山口 範晃  長崎県立大学, 看護栄養学部, 助教 (80516295)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードビタミンA / 高脂肪食 / 肥満 / 脂肪組織 / 脂質代謝
研究概要

【目的】ビタミンAは肥満の治療や血糖値の改善の効果が報告されている。また、これまでに我々は肥満発症ラットOLETFラットの脂肪組織を用いた研究で、レチノイン酸合成酵素であるレチナール脱水素酵素の発現量が低下したことを報告した。そこで本研究では、C57BL/6Nマウスに高脂肪食を摂食させると同時に、肥満発症前からレチノイン酸を経口投与したときの脂肪組織への影響について検討した。【方法】5週齢から12週齢までC57BL/6Nマウスに高脂肪食(脂肪エネルギー比率60%)を摂食させ、同時にall-transレチノイン酸(ATRA)を10 mg/kg weight経口投与した。また、X線CT装置による12週齢マウスの撮影を行った。12週齢のマウスを断頭屠殺後、副睾丸脂肪組織から総RNAを採取し、リアルタイムRT-PCRにより各種遺伝子の発現量を測定した。【結果・考察】高脂肪食マウス群は、標準食を摂食させたマウス群よりも体重および脂肪組織重量が有意に増加した。しかし、高脂肪食と同時にATRAを投与したマウス群は、高脂肪食群と比較して、体重および脂肪組織重量が有意に低値を示した。さらに、CT装置による脂肪組織重量の測定でも、12週齢のATRA投与群で有意に減少した。また、脂肪酸合成酵素であるFatty Acid Synthetaseの遺伝子発現量は、高脂肪食群と比較してATRA投与群で低値を示した。一方、脂肪酸のβ酸化に関わる酵素acyl-Coenzyme A oxidase 1や熱産生タンパク質uncoupling proteinsの遺伝子発現量は、高脂肪食群と比較してATRA投与群で高値を示した。以上のことから、ATRA投与により、脂肪酸合成の抑制と脂肪酸燃焼およびβ酸化の亢進を誘発することで、脂肪組織重量が減少する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

申請時に提出した平成23年度の研究計画通り、3T3L-1細胞のレチノイド(レチノイン酸)およびβアポカロテナールによる各種代謝に及ぼす影響について検討した。それに加え、高脂肪食を摂食させた肥満マウスの脂肪組織におけるレチノイドおよびβアポカロテナールの影響についても検討した。3T3L-1細胞およびマウス脂肪組織において、レチノイン酸は各種代謝の変動をもたらすことが示された。この研究内容は、日本栄養食糧学会で発表する。さらに、肥満マウスでは、細胞内でビタミンA(レチノール)と結合するタンパク質であるCRBPIの発現量が減少していることから、肥満状態では脂肪組織でのビタミンA代謝能が低下している可能性を見出した。一方、βアポカロテナールに関しては、これらの細胞および脂肪組織の各種代謝にはあまり影響を及ぼさなかった。 以上のことから、肥満状態におけるビタミンA代謝の変動およびレチノイン酸の影響に関する研究は、今後の研究を更に展開する計画であるが、βアポカロテナールに関する研究は、計画の再立案を行う必要がある。

今後の研究の推進方策

高脂肪食および標準食からビタミンAを含む餌またはビタミンAを除去した餌をマウスに摂取させる。同時に、ビタミンA(レチノイン酸、レチノールおよびレチナール)を経口投与することで、体内ビタミンAレベルの違いによる脂肪組織の各種代謝の変動について検討することを考えている。実験手法として、生体マウスを用いてX線CTによる脂肪組織重量の測定および呼気分析によるエネルギー消費量の測定を行う。屠殺後、脂肪組織の各種代謝関連遺伝子およびタンパク量の測定、血液中の各種代謝産物やホルモンおよびアディポサイトカイン濃度の測定を行う。 加えて、上記の動物および3T3L-1細胞を用いて、レチノイン酸がPPARsを介してどの程度脂肪細胞の成熟化および脂肪組織重量を変動させるかを検討する予定である。 βアポカロテナールに関する実験については、マウスおよび3T3L-1細胞を用いて、βアポカロテナールの投与量や投与期間の再検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

具体的な研究費の使用計画は下記の通りである。実験動物マウスの購入(10万円)、マウス飼育に関わる餌および器具の購入(10万円)、マウスの飼育に関わる謝金(10万円)、各種リアルタイムRT-PCR関連試薬(20万円)、各種アディポサイトカインおよびホルモンのELISA kit(50万円)、細胞培養に必要な試薬および器具(20万円)、その他必要な試薬・器具(20万円)。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 肥満発症ラットOLETFの脂肪組織および3T3L-1前駆脂肪細胞におけるビタミンA代謝関連遺伝子の発現変動2011

    • 著者名/発表者名
      山口 範晃、駿河 和仁
    • 学会等名
      第65回日本栄養食糧学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011年5月15日
  • [学会発表] ビタミンA欠乏ラットのβカロテン代謝関連酵素の遺伝子発現に及ぼす食餌タンパク質の量と質の影響2011

    • 著者名/発表者名
      高瀬 幸子、清水 正則、山口 範晃、駿河 和仁
    • 学会等名
      日本レチノイド研究会第22回学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011年11月12日

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公開日: 2013-07-10  

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