研究実績の概要 |
先進国では、客観的指標においては食生活の質と量が満たされているにも関わらず、不満や不安が多く、主観的食生活は充足されていない。この問題に対して、心理測定法と多変量解析を組み合わせたアプローチによって解決を試み、国民の食QoL向上に貢献することを目指してきた。 平成23年度の成果として、まず質問票の信頼性を確認したことがあげられる。その質問票を用い多くの食事特性において理想と現実に大きな乖離が見られることを解明した。また、夕食においてその解離が小さくなることから、夕食において理想を満たそうとしていることが伺える(Kyutoku et al., 2012)。 平成24年度は、理想がどの様に現実の食生活に関係し、どの様に食QoLに反映されるかを朝食・昼食・夕食にてモデル化し、理想と現実の一致が、必ずしも食QoLの向上に結びつく訳ではないことが分かった(APA学会発表)。 平成25年度は、震災前後でも消費者の理想と現実に有意な差が見られないことを検証した。更に、これまでに確立した手法を外食産業に応用し、消費者にとり精神的な報酬効果が理性的な知覚価値よりも、消費者の満足感に強く関与することを明らかにした(ICHRIE学会発表及び査読付き学会議事録)。 平成26年度は、本手法を外食メニューレベルのロイヤリティモデル、及び料理の認知モデルの構築に応用し査読付き国際学会(SenseAsia)にて報告した。食自体にとどまらず、外食店の改装前の外観評価など食生活全般に関わる研究に応用分野を広げ、ICHRIE学会発表及び査読付き議事録において報告した。 更に平成27年度には派生研究として温泉ブランド評価モデル(AHTTM学会発表)、外食店消費者の心理モデル(ICHRIE学会発表及び査読付き議事録;APA学会発表)の査読付き国際学会発表が確定している。また、本手法をオペレーションズリサーチ誌上にて報告し更なる普及につとめている(久徳、檀, 2015)。
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