平成 24 年度は、高脂肪食およびうずら豆抽出物を摂取したマウスより採取した血清および肝臓などの組織検体を用いて病理組織学的検証を行い、さらに脂質・糖質代謝改善効果の詳細な分子作用機構の検討を行った。 まず、肝臓のパラフィン包埋切片および凍結組織切片を作成し、 HE 染色と脂肪染色を行い、うずら豆抽出物摂取による病理組織学的な改善効果を検証したところ、高脂肪食摂取により肝臓への過剰な脂肪滴蓄積や個体によっては繊維化まで観察されたのであるが、うずら豆抽出物摂取により、それらは顕著な改善効果が認められた。 そこで、うずら豆抽出物摂取による脂質・糖質代謝改善効果の詳細な分子作用機構の検証を行った。肝臓より抽出した total RNA およびタンパク質を用い、PCR アレイ、リアルタイム PCRおよびウェスタンブロッティングにより解析したところ、主にトリグリセリド合成系酵素、コレステロール代謝系酵素およびリポタンパク質代謝関連タンパク質が、うずら豆抽出物の摂取により、正常状態にシフトするように変動していることが確認できた。また、血清中のアディポサイトカイン分泌パターンにも、正常状態への改善傾向が認められた。 さらに、うずら豆抽出物の摂取が、脂質・糖質代謝に関連する核内転写因子やシグナル伝達経路のどこに作用しているのかを検証したところ、核内転写因子では、 peroxisome proliferator-activated receptor alpha/gamma および liver X receptors の活性化、また、シグナル伝達因子に関しては、extracellular signal-regulated kinases 、 Jun-N-terminal kinasesおよび AMP-activated protein kinaseのリン酸化の制御に関与している可能性が示唆された。
|