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2011 年度 実施状況報告書

食品中メイラード反応生成物の生成機構および生体内における消化・吸収性に関する解明

研究課題

研究課題/領域番号 23700925
研究機関日本女子大学

研究代表者

山口 敬子  日本女子大学, 家政学部, 助手 (00440074)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードメイラード / 糖化タンパク質 / 糖化ペプチド
研究概要

食品の加工・貯蔵・調理の過程において、タンパク質は糖や脂質、あるいはそれらの分解生成物によりメイラード反応を起こし、修飾タンパク質を生じる。これまで修飾タンパク質の栄養学的な研究は数多く行われてきたが、メイラード反応生成物の生成機構に関する研究はあまり行われていない。そこで23年度は、乳清タンパク質の一種であるβ-ラクトグロブリンの構造中に含まれるアミノ酸配列LEKFDおよびLEKFDKALKAを用い、グルコース修飾反応のメカニズムの解明を行った。さらに、食品中においてどの程度AGEsが生成しているかを明らかにすることを試みた。 グルコース修飾合成ペプチドのグルコース修飾パターンの解析では、HPLC、ESI-MS/MS、MALDI-MS/MSを用いて分析を行い、グルコースの結合数および結合部位について検討を行った。その結果、修飾ペプチドLEKFDからはグルコースが結合したペプチドの存在を明らかにすることができなかったが、修飾ペプチドLEKFDKALKAより、ペプチド1分子あたりにグルコースが1分子および2分子によって修飾されたペプチドの存在が明らかとなった。さらにグルコースの結合数および結合部位の異なる複数の修飾ペプチドが生成していることが判明した。 食品中におけるAGEsの定量では、AGEsの一種であるCMLを定量することにより、食品中においてどの程度AGEsが含まれているかを明らかにした。またAGEsは蛍光性を有するものがあるため、食品中における蛍光性の度合を明らかにした。モデルとして牛ひき肉を用いてオーブン焼きとフライパン焼きの2種の調理法により0~30分加熱した。その結果、フライパン焼きにおいてはAGEsや蛍光性物質の生成が認められたがオーブン焼きでは認められなかった。フライパン焼きでは短時間でAGEsが生成されるが、その後AGEsは分解される可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

グルコース修飾合成ペプチドのグルコース修飾パターンの解析では、修飾ペプチドLEKFDKALKAよりグルコースが結合したペプチドの存在が明らかとなった。また、グルコースの結合数および結合部位の異なる複数の修飾ペプチドが生成していることが判明した。今後は、グルコースの結合部位を明らかにすることにより、グルコース修飾パターンをさらに解明することが可能であろう。一方、修飾ペプチドLEKFDからはグルコースが結合したペプチドの存在を明らかにすることができなかった。今後、グルコースの糖化条件を再検討する必要がある。 食品中におけるAGEsの定量では、モデルとして牛ひき肉を用い、オーブン焼きとフライパン焼きの2種の調理法により加熱し、CMLの定量および蛍光性の度合を測った。その結果、フライパン焼きにおいてはAGEsや蛍光性物質の生成が認められたがオーブン焼きでは認められなかった。フライパン焼きでは短時間でAGEsが生成されるが、その後AGEsは分解される可能性が示唆された。今後は、調理法によってなぜAGEsや蛍光性物質の生成に違いがみられるのか、そのメカニズムを解明する必要がある。

今後の研究の推進方策

23年度における研究を引き続き行い、グルコース修飾合成ペプチドのグルコース修飾パターンの解析を検討する。また、食品中におけるAGEsの定量については、そのメカニズムを解明するため、調理中における肉の内部温度の測定、およびAGEs以外のメイラード物質の測定を検討する。 次に、グルコース修飾タンパク質の修飾程度について検討を行う。モデルタンパク質としてβ‐ラクトグロブリンを用い、グルコース修飾タンパク質とする。アミノ酸アナライザーを用いて未修飾および修飾タンパク質の修飾程度を測定する。 さらに、グルコース修飾タンパク質のin vitroにおける消化・吸収性について検討を行う。モデルとしてグルコース修飾β‐ラクトグロブリンを用いる。未修飾および修飾タンパク質は、ペプシン・パンクレアチンにより消化する。生成した消化物を限外ろ過により分画し、収量を量る。またHPLCを用いて分析を行う。グルコース修飾タンパク質のin vivoにおける消化・吸収性についても検討を行う。Wistar系ラットに調製した未修飾および修飾タンパク質を経口投与する。試料を投与してから20分、60分後に解剖し、胃・小腸上部・小腸下部において残存する内容物をそれぞれ回収する。消化管内残存物を限外ろ過により分画して収量を量る。また、HPLCを用いて各画分の残存物をそれぞれ分析する。

次年度の研究費の使用計画

グルコース修飾合成ペプチドのグルコース修飾パターンの解析を引き続き行うため、合成ペプチドを購入する。また、HPLC、MS/MSの実験に用いる薬品、器具を購入する。なかでも特に、グルコース修飾ペプチドを大量に分取・精製するため、分取用カラムの購入が必須である。 食品中メイラード反応生成物の生体内における消化・吸収性について検討するため、タンパク質標品、ラットおよびラット飼料を購入する。また、アミノ酸アナライザー、HPLC、ELISA法の実験に用いる薬品、器具を購入する。さらに、in vitroの消化実験に必要な試薬、およびin vivoの動物実験に必要な器具を購入する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 合成ペプチド(LEKFD、LEKFDKALKA)のD-グルコースによる糖化反応の解析2011

    • 著者名/発表者名
      山口敬子,大塚譲
    • 学会等名
      第65回日本栄養・食糧学会大会
    • 発表場所
      お茶の水女子大学
    • 年月日
      2011年5月15日

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公開日: 2013-07-10  

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