食品の加工・貯蔵・調理の過程において、タンパク質は糖などによりメイラード反応を起こして修飾タンパク質を生じる。これまで修飾タンパク質の栄養学的な研究は数多く行われきたが、メイラード反応生成物の生成機構や生体内における修飾タンパク質の消化・吸収性に関する研究はあまり行われていない。そこで23年度は、β-ラクトグロブリンの構造中に含まれるペプチドを用いてグルコース修飾反応の解明を行った。また、食品中AGEsの生成についても明らかにすることを試みた。24年度は引き続きペプチドのグルコース修飾パターンの解析を行い、さらにβ-ラクトグロブリンを用いてグルコース修飾タンパク質のin vitroおよびin vivoにおける消化・吸収性について検討した。 グルコース修飾ペプチドの修飾パターンについては、ペプチドLEKFDKALKAよりペプチド1分子当りグルコース1分子および2分子によって修飾されたペプチドの存在が明らかとなり、グルコース結合部位が異なる複数の修飾ペプチドが生成していることが示唆された。またペプチドLEKFDよりペプチド1分子当りグルコース1分子によって修飾されたペプチドの存在が明らかとなり、さらにピリリウムイオンまたはヒドロキシメチルフリリウムイオンである可能性が示唆された。 食品中におけるAGEsの生成については、CMLの定量および蛍光性の度合いによって明らかにした。牛ひき肉を用いてオーブン焼きおよびフライパン焼きにより加熱した結果、フライパン焼きではCMLや蛍光性物質の生成が認められたがオーブン焼きではあまり認められなかった。 グルコース修飾タンパク質のin vitroおよびin vivoにおける消化・吸収性については、in vitroでは修飾タンパク質が未修飾よりも消化しにくい結果であったのに対し、in vivoでは修飾タンパク質が未修飾よりも速やかに消化・吸収された。
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