神経回路形成時に生じる前シナプスおよび後シナプスの形態学的、機能的変化を指標として、フラボノイド類が記憶形成に及ぼす影響を分子レベルで検討した。前シナプスに対する影響の検討を行うため、PC12細胞の軸索伸長を指標とした。ルチンおよびケルセチンの培地への添加により軸索伸長が誘導される傾向がみとめられたが、リスベラトロールの添加ではそのような影響がみとめられなかった。後シナプスにおけるAMPA型受容体の細胞膜への移行は、リスベラトロールの添加により誘導される傾向がみられたが、ルチンおよびケルセチンの添加では影響がみとめられなかった。フラボノイドが与える記憶形成への影響は、分子レベルにおいてそれぞれが特異的な機序による可能性が示唆される。
|