研究課題/領域番号 |
23700932
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研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
近藤 浩代 名古屋女子大学, 家政学部, 講師 (50333183)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 血管 / 骨格筋 / 栄養 / サルコペニア |
研究概要 |
糖尿病の合併症による血管障害や、ロコモティブシンドロームの原因となるサルコペニアはともに寝たきりの誘因になり様々な合併症を併発しうる。両者に発生する血管構造病変と筋萎縮を予防することを目的に、当該年度はこれらの病変を予防する栄養成分や食品由来成分のスクリーニングを行っている。生体内における骨格筋細胞や血管内皮細胞の増殖因子、プロテアソーム、活性酸素種のレギュレータ、血管増殖因子の調節系を解析することによって、栄養成分や食品由来成分による予防作用について検証を行っている。 当該年度は様々な食品由来成分の候補物質をデータベース化し、成分を抽出し、細胞レベルで骨格筋細胞と血管内皮細胞の異常を改善するスクリーニング体制のベースを構築し、スクリーニングを行った。骨格筋細胞や血管内皮細胞を用いて、食品由来成分の血管新生や筋肉代謝活性への影響に関して多検体を細胞レベル、分子レベルで探索したところ、一部の食品成分に筋―血管クロストークを改善する候補物質としての活性を見出した。 これらをデータベース化し、現在は作用機能ごとに分類し、筋萎縮や血管の異常を改善する栄養療法のためのデータを追加している。また、発現解析など詳細な解析を行っており、これらの候補物質をさらに厳選し、次年度のin vivoの試験を行い、生化学的解析、組織化学染色、遺伝子発現解析により、骨格筋と血管構造異常に対する候補物質の予防改善効果の検討を行う。これらを総合的に検討することによって、筋萎縮と血管構造異常を予防改善するための栄養サポート療法を開発する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに約100種類の栄養素や食品由来成分について抽出と検体溶液の調整を行った。培養細胞の増殖レベル、遺伝子発現レベルでスクリーニングを行っており、多数の食品候補が見出されてきた。これらを用いてデータベースを作成し、詳細なデータを追加しており、活性種類別に候補物質の絞り込みを行うために、さらに細胞代謝活性や調節因子について測定を行っている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進に関して、当該年度で得られた栄養成分や食品由来成分について、測定活性の種類別にデータベース化を行うことで多方面から候補物質の検討を行い、骨格筋の筋萎縮と血管構造異常を予防改善する栄養療法にむけた候補物質を厳選する。 また、ここで得られた物質をモデル動物に投与し、サルコペニアや糖尿病などにおこる筋―血管系の異常に対して、骨格筋とその血管構造の改善効果について詳細に検証する。検出方法は、モデル動物に投与を行い、経時的に血清の血液生化学検査を行い、下肢の筋肉組織など各組織を摘出し、組織切片を作成して組織化学染色、蛍光免疫組織化学染色、筋原線維たんぱく質解析、血管構造解析を行う。また、筋組織のホモジネートからmRNA発現解析を行い、遺伝子レベルの解析を行う。さらに筋細胞と血管をこれらのデータから多角的に検討して、候補物質を用いた栄養療法の生体内における改善について総合的な検証を行う方策である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、当該年度で得られたデータより、これらの候補物質を厳選し、モデル動物に投与し、サルコペニアや糖尿病などにおこる筋―血管系の異常に対して、骨格筋とその血管構造の改善効果を組織レベル、遺伝子レベルなどで検証する。当該年度に栄養成分、食品由来成分の細胞レベルのデータは得られたが、候補物質を厳選するための詳細なスクリーニング解析には時間が掛かっている。そのために当該年度から次年度にむけた研究計画において、当該年度に行ってきた食品成分の再抽出と分子レベルの詳細解析研究の研究費が必要である。またin vivo試験において、より大きいスケールの食品成分の抽出費用と動物飼育関連費用と、その解析のための生化学分析費用、組織切片作成費用、蛍光免疫組織学的解析費用が必要となるため、当該年度からの研究費を加えて次年度の研究を推進していく計画である。
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