今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究計画では,「肥満」型脳卒中モデルラットSHRSP fattyの基本的性質を明らかにすることに重点を置く.具体的には,雄性のSHRSP fatty(n=10),および対照正常血圧ラット(Wistar Kyoko rats: WKY)(n=8-10)を用いて,5, 7, 9, 11, 13, 15週齢の体重,収縮期血圧,血糖値,血漿インスリン値,および血清生化学検査値(AST, ALT, クレアチニン,尿素窒素,総コレステロール,中性脂肪,遊離脂肪酸)のデータ収集を行う.また,SHRSP fattyの脳卒中発症日,生存日数を解析し,M-SHRSPとの差異について明らかにする.実験で摘出した脳組織から,脳組織標本を作製し,ヘマトキシリン・エオジン染色による脳血管病変(脳梗塞,脳出血,脳浮腫)の評価を行い,SHRSP fattyおよびM-SHRSPの脳卒中病変の種類,程度を比較・解析する.申請者は,予備検討により,M-SHRSPの脳卒中発症時に,脂肪由来生理活性物質(アディポサイトカイン)の一つであるアディポネクチンの発現および分泌の低下を見出している.肥満・やせによるアディポサイトカインの変動が脳卒中発症に関与する可能性が十分に考えられることから,M-SHRSPと同様にSHRSP fattyの血漿アディポネクチン濃度をELISA法により解析する.
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