研究課題/領域番号 |
23700937
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
赤澤 陽子 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 産総研特別研究員 (50549897)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | メタボリックシンドローム / 酸化ストレス / 炎症 / 脂質酸化 |
研究概要 |
肥満は高血圧や糖尿病の生活習慣病をはじめとして、多くの疾患のリスクファクターとなる。肥満により肥大した脂肪細胞では種々の刺激により炎症や酸化ストレスを誘発し、動脈硬化などの炎症性疾患の引き金となりうる。本提案課題では脂肪細胞炎症モデルにおけるアディポサイトカイン分泌や酸化ストレスに対する機能性食品因子の効果を解析し、メタボリックシンドローム発症・進行を予防する食品因子の評価を目的とした。本年度は主に、脂肪細胞を用いた炎症モデル実験系の評価項目の構築を行った。(1) 培養細胞を用いた脂肪細胞炎症モデル実験系の確立マウス脂肪前駆細胞(3T3-L1)を用いて、TNFα刺激やマクロファージ細胞との共培養による炎症モデル系の構築を目的とした。それぞれの刺激の濃度および各時間における炎症性マーカー(Interleukin-6やMonocyte-chemoattactant protein-1等)、酸化ストレス(脂質酸化物(主にヒドロキシリノール酸・ヒドロキシコレステロール等)や活性酸素種)および遊離脂肪酸への影響を測定し、炎症モデル実験系の評価項目として設定した。また、従来の遊離脂肪酸の定量法は酵素免疫定量法(ELISA) kitを用いて行われることが多いが、炎症刺激により変化する脂肪酸種とその挙動をより詳細に解析するため、質量分析装置(GC/MS)による各脂肪酸の定量法の構築を目指す。(2) 培養細胞を用いた炎症モデル実験系における機能性食品因子の効能評価食品因子(ビタミンE、ケルセチン、カフェ酸フェニチルエステル(CAPE)等)を培養細胞へ添加し、(1)で得た評価項目をもとにそれぞれの化合物の効果を検討した。ケルセチンやCAPEはTNFa刺激による炎症性マーカーの発現を抑制した。今後、様々な食品因子による影響について評価を行うとともにメカニズムの解明を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属変更の為、試薬・細胞等の準備や実験系の再構築が必要になり、当初の計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)培養細胞を用いた炎症モデル実験系を利用して、様々な食品因子の効能を評価する。(2)培養細胞実験において効果が認められた食品因子を肥満モデル動物に摂餌させ、血液中および脂肪組織中の炎症性マーカーや酸化ストレスレベルへの効果を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に実験協力者の人件費と消耗品に使用する。細胞培養の為の培地や牛血清、サイトカイン発現解析に必要な試薬や脂質酸化および遊離脂肪酸測定の為の質量分析装置に使用するカラムおよび試薬は必要不可欠である。また、一部は成果普及の為の論文投稿費用および出張費である。
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