研究課題/領域番号 |
23700937
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
赤澤 陽子 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究員 (50549897)
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キーワード | メタボリックシンドローム / 酸化ストレス / 炎症 / 脂質酸化 |
研究概要 |
肥満は高血圧や糖尿病の生活習慣をはじめとして、多くの疾患のリスクファクターとなる。肥満により肥大した脂肪細胞では種々の刺激により炎症や酸化ストレスを誘発し、動脈硬化などの炎症性疾患の引き金となりうる。本提案課題では脂肪細胞炎症モデルにおけるアディポサイトカイン分泌や酸化ストレスに対する機能性食品因子の効果を解析し、メタボリックシンドローム発症・進行を予防する食品因子の評価や、脂質酸化物を指標としたメタボリックシンドロームの評価について検討を行った。 ①培養細胞を用いた脂肪細胞炎症モデル実験系の確立 マウス脂肪細胞(3T3-L1)を用いて、TNFa;刺激やマクロファージ細胞との共培養による炎症モデル系において、ビタミンE類(a;-トコフェロール、b;-トコフェロール、g;-トコトリエノール、d;-トコトリエノール)による、炎症抑制効果について検討を行った。しかし、上記ビタミン類には抑制効果が認められなかった。さらに、炎症刺激により変化する脂肪酸種を詳細に解析するため、質量分析装置(GC/MS)による各脂肪酸の定量法構築を遂行している。 ②リノール酸酸化物を指標とした評価と細胞応答 糖尿病による急激な血糖値の上昇は、酸化ストレスを誘導することが知られているが、なかでも一重項酸素の発生と疾患の関与が示唆されている。そこで、一重項酸素特異的に生成するリノール酸酸化物の測定法の構築とその細胞応答について検討した。酸化物の測定はLC-MS/MSを用いた。さらに、一重項酸素により生成するリノール酸酸化物は、細胞内の抗酸化物質を高め、適応応答を誘導する事を明らかとした。この作用はラジカル的酸化によって生成する酸化生成物には認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
産休・育休を取得していたため研究出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
①培養細胞を用いた実験により、リノール酸酸化物によるメタボリックシンドローム評価の有用性の検討を行う。 ②リノール酸酸化物による細胞応答についてメカニズム解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に実験に使用する消耗品に使用する。細胞培養の為の培地や血清、サイトカイン発現解析に必要な試薬や脂質酸化物や遊離脂肪酸測定の為に使用する質量分析装置の消耗品やカラムは必要不可欠である。一部は成果普及のための論文投稿費用および出張費である。
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