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2011 年度 実施状況報告書

食塩感受性高血圧における交感神経の役割と遺伝子機序の解明を目指す世界データの解析

研究課題

研究課題/領域番号 23700939
研究機関武庫川女子大学

研究代表者

田口 崇  武庫川女子大学, 国際健康開発研究所, 助手 (50449005)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード食塩感受性高血圧 / GNB3 / 心拍
研究概要

WHO-CARDIAC研究で収集した疫学データと保存血液試料を用い食塩感受性高血圧に関わる遺伝子多型の解析を進めた。日本人の集団では食塩感受性高血圧遺伝子のGNB3遺伝子多型がTT型74名、CTとCC型167名であり、これまで報告されているヨーロッパ人と異なり遺伝子多型が収縮期および拡張期血圧に影響しないことを明らかにした。一方、遺伝子多型依存的に非リスク型(CC+CT型)とリスク型(TT型)に心拍数(73.9 ± 0.8* 76.9 ± 1.3, *:p<0.05)の差を見出した。さらに24時間尿中食塩排出量と心拍数の相関係数において、CC+CT型は負の相関を示すのに対しTT型は正の相関を示し、CC+CT型とTT型の相関係数は有意な差を示し極めて特徴的な遺伝子多型間の相違を見出した。またインドネシア人の集団では日本人と同様にリスク型(TT型)で非リスク型(CC+CT型)より心拍数が高く、食塩排出量と心拍数の相関係数も高い傾向を示すが、有意な差は認められず、人種によってGNB3の遺伝子多型が及ぼす影響に違いが認められた。このようにGNB3の遺伝子多型は、Gタンパクを介したシグナル伝達が食塩摂取依存的に交感神経を刺激して、心拍数を制御する事を示唆した。GNB3と心拍数の関係はこれまでに報告されているが、食塩摂取による影響を解析した例はなく、また国際比較も本研究が初めてであり、新たな知見として第34回日本高血圧学会にて報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

海外疫学調査で収集した保存血液試料を用い食塩感受性高血圧に関わる遺伝子多型の解析を進め、まず食塩感受性高血圧遺伝子GNB3の多型を解析して食塩摂取依存的に心拍数に影響することを見出しており、得られた結果を第34回日本高血圧学会にて報告したことから、おおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

これまでに食塩感受性高血圧遺伝子であるGNB3が、食塩排出量依存的に交感神経によって制御される心拍数に影響を及ぼすことを明らかにした。平成23年度は、標的としたGNB3の遺伝子多型が比較的安価で同定できる制限酵素断片長多型法(RFLP法)ですべて同定できたため、予算を有効に利用し一部に未使用金が生じた。今後はさらにGNB3とともにGタンパク質の複合体であるGNAS1と、一般に食塩感受性として報告されているα-adducin, Aldosterone synthase(CYP11B2), Angiotensinogen (AGT)を標的として多型を解析し、遺伝子型別の24時間Na排泄量と心拍数の相関の有無を明らかにすることができる。得られる結果は食塩感受性高血圧のメカニズムを明らかにする一助となり、高血圧を含む生活習慣病の食育による一次予防につなげることが期待できる。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度未使用金54万3千円は、対象とする試料数を増やし、広範囲の地域をカバーする研究にするために使用する。具体的には、保存する血液や尿の生化学分析費用、より迅速かつ正確に遺伝子多型を解析するためのリアルタイムPCR法の消耗品費用に支出予定である。次年度の研究費は、主に引続き保存血液試料を対象とした遺伝子多型の解析に用いる。初年度に明らかにしたGNB3の遺伝子多型に関わるシグナル伝達や他の食塩感受性遺伝子を標的としてさらに対象とする多型を増やし、詳細に解析するために必要な実験機器、試薬類の購入を予定する。また得られた結果を報告するため、第35回日本高血圧学会(名古屋)への参加費と交通費を支出し、さらに論文投稿料(雑誌未定)が必要となる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] WHO-CARDIAC Studyのデータを用いた食塩感受性昇圧機序の解析2011

    • 著者名/発表者名
      田口 崇、森 真理、家森 幸男
    • 学会等名
      日本高血圧学会
    • 発表場所
      栃木県総合文化センター(宇都宮市)
    • 年月日
      2011年10月21日

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公開日: 2013-07-10  

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